「インドネシアとのトヨタ誘致合戦 激化」タイ政府、自動車の物品税制度を再構築する意向。

タイ政府は、自動車産業の競争力強化と国内生産の維持を目的に、自動車の物品税制度を再構築する方針を明らかにした。

国内に生産拠点を設けて製造するメーカーには低い税率を適用する一方、タイ国内に工場を持たず完成車を輸入する企業には、より高い税率を課す案が検討されている。

エクニティ副首相兼財務相は、この改革を緊急性の高い政策と位置付け、9月までに新たな税制案をまとめるよう財務省幹部に指示した。
新制度は、2026年末までの導入を目指す。

◆FTAで生じる「輸入車優位」を是正

今回の見直しの背景には、自由貿易協定(FTA)による関税格差がある。
FTA締結国から輸入される完成車の一部は低い関税が適用されるため、タイ国内に工場を構える自動車メーカーが不利になる可能性が指摘されている。

エクニティ財務相は、タイが米国のようにFTA相手国からの完成車に単純に高関税を課すことは難しいとして、物品税を活用して国内生産と輸入車の税負担の差を調整する考えを示した。

◆国内投資メーカーに低税率

検討されている新制度では、タイ国内に工場を設け、実際に生産投資を行うメーカーに対して、内燃機関車、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(BEV)などで優遇税率を適用する。

一方、タイ国内に製造拠点を持たず、完成車を輸入して販売する企業については、より高い物品税率を適用する方向だ。

さらに、優遇を受けるメーカーには、タイ国内で生産された原材料や部品の使用、輸出向け車両の生産など、国内産業への実質的な貢献を求める。

政府は、これによって自動車メーカーによるタイ国内への投資を促し、雇用や部品産業など国内のサプライチェーンを維持・強化したい考えだ。

◆インドネシアへの生産移転を警戒

背景には、周辺国との自動車産業誘致競争もある。
インドネシアのプルバヤ財務相がトヨタに対し、タイからインドネシアへの生産移転を促すため、工場設立に向けた優遇措置を提示したことも、タイ政府の危機感を強めている。

タイ政府は、自動車メーカーが税制上の不利を理由に周辺国へ生産拠点を移すことを防ぎ、東南アジアの自動車生産ハブとしての地位を維持したい考えだ。

◆「国内生産と雇用を同時に支援」

エクニティ財務相は、輸入車を選ぶ消費者にはより高い税負担を求める一方、国内生産車については低い税率を維持することで、国内生産と雇用を支援しながら税収増にもつなげられるとの見方を示している。

◆豪州・ニュージーランドへの輸出拡大も視野

また、タイ政府は国内生産だけでなく、海外市場の開拓も進める方針だ。

エクニティ財務相は8月17日からアヌティン首相に同行し、オーストラリアとニュージーランドを訪問する予定だ。
両国とのFTAを活用し、タイ国内で生産した自動車の輸出拡大や市場開拓を目指す。

政府は、ガソリン車からEVへの移行を進めるには投資誘致だけでは不十分として、タイで生産した車両を海外へ輸出できる市場を確保することが重要だとみている。

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