タイ証券取引所、海外証券連動商品の取引開始を午前8時に前倒し! 11月16日から8項目の改正も。

タイ証券取引所(SET)は、2026年11月16日から海外の証券に連動する金融商品の取引開始時刻を、従来の午前10時から午前8時に2時間前倒しすると発表した。
併せて、空売り規制や高頻度取引(HFT)に関するルールなど、8項目の取引制度改正を実施する。

◆11月16日から導入される8つの取引制度改正

1.株価5~50バーツの銘柄で最小値動き幅を縮小

1株当たり5~50バーツの証券について、売買注文の最小価格刻み(ティックサイズ)を引き下げる。
これにより、売値と買値の価格差(スプレッド)を縮小し、注文が成立しやすい環境を整える。
投資家の取引コスト削減と市場流動性の向上が期待されている。

2.空売りの価格規制を変更

空売り(ショートセリング)に関する価格規制を見直す。
通常時は「ゼロプラス・ティック・ルール」を適用し、直近の約定価格と同じか、それ以上の価格で空売りを認める。

ただし、ある銘柄の終値が前日の終値から10%以上下落した場合、翌営業日には「アップティック・ルール」を適用する。

この場合、空売り注文は直近の約定価格を上回る価格でなければならない。
SETは、通常時の流動性を維持しながら、株価が大きく下落する局面での売り圧力を抑制する狙いがあるとしている。

3.空売り対象を流動性の高い銘柄に限定

空売りが認められる証券を、十分な流動性を持つ銘柄に限定する。
対象となるのは、SET100指数の構成銘柄、個別株先物の原資産となる証券、預託証券(DR)、上場投資信託(ETF)など。これにより、流動性の低い銘柄での空売りによる市場への影響を抑える。

4.取引活動の登録要件を見直し

取引活動に関する登録要件を、実際の注文方法や取引行動に基づいて判断する仕組みに変更する。
具体的には、専用のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を利用した注文の有無や、高頻度取引(HFT)に該当する特徴などを考慮する。

判断材料には、注文の頻度や速度、取引終了時点の保有ポジション、1日の取引金額などが含まれる。
これにより、実態に即した監督体制を構築する。

5.大量注文を行う取引口座に追加手数料

注文数に対して約定件数が極端に少ない取引口座に対し、追加手数料を導入する。
対象となるのは、注文数と約定件数の比率(OTR)が50対1を超え、平均注文送信件数が1分当たり50件を超える口座。
追加手数料は、1日1万5,000件を超える注文に対してのみ適用され、超過分の注文1件につき0.15バーツ(15サタン)が課される。

SETは、システム資源の実際の利用コストを反映するとともに、約定させる意図のない大量注文を抑制することが目的だとしている。

6.個別銘柄のダイナミック・プライス・バンドを廃止

個別銘柄の急激な価格変動を制限する「ダイナミック・プライス・バンド(DPB)」を廃止する。
特に流動性の低い証券において、価格制限が取引の障害となることを減らし、売買を円滑にする狙いがある。

7.高頻度取引(HFT)の対象銘柄制限を撤廃

高頻度取引を行う投資家に対して設けられていた、取引可能な証券の制限を撤廃する。
これにより、HFT参加者も幅広い証券を取引できるようになる。
SETは、すべての投資家に一貫した監督基準を適用し、国際基準との整合性を高めるとともに、取引の柔軟性と公平な市場アクセスを確保するとしている。

8.注文の最低維持時間を撤廃

注文を一定時間維持することを求める「最低注文維持時間(Minimum Resting Time:MRT)」の規制を廃止する。
これにより、投資家や証券会社が注文をより柔軟に管理できるようになり、取引所会員企業のシステム負担の軽減も期待される。

アサデート総裁は、今回の改革について、市場の流動性と安定性のバランスを取りながら、投資家の取引コストを削減し、実際の取引行動に基づいた監督を強化するものだとし、タイ資本市場の公平性に対する信頼向上につなげたいと説明している。

新たな取引時間と8項目の制度改正は、いずれも2026年11月16日から適用される予定だ。

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