東南アジアの家庭用エアコン数、2035年までに3倍に増加! ハイアール、タイを戦略拠点に。

家電大手ハイアール(Haier)が、タイをエアコン生産の戦略拠点として強化する。
東南アジアを中心に冷房需要の拡大が見込まれる中、チョンブリー県のスマート工場を高度化し、年間最大600万台の生産体制を構築するとしている。
それによりタイ国内への供給に加え、世界各国への輸出拡大を目指すという。

背景にあるのが、東南アジアで急速に高まるエアコン需要だ。

国際エネルギー機関(IEA)の「Southeast Asia Energy Outlook 2026」によると、建物の冷房は電力需要が特に急速に伸びている分野の一つで、東南アジアの家庭用エアコン台数は2035年までに3倍に増加する見通しだという。

気温上昇に加え、都市化や消費者の購買力向上なども市場拡大を後押ししている。

◆チョンブリー工場を世界市場への供給拠点に

ハイアールが生産強化を進めるのは、チョンブリー県にある敷地面積202ライ(約32万平方メートル)超のスマートエアコン工場だ。

年間最大600万台の生産能力を備え、AIや自動化技術を積極的に導入している。

同社はタイについて、生産能力や人材に加え、主要市場へのアクセスに適した立地を評価している。
チョンブリー工場をハイアールのグローバル・サプライチェーンにおける重要な生産拠点の一つとして位置付けている。

さらに東南アジアで市場拡大が期待される一方、メーカー間の競争も激しさを増すことが予想される。
需要増への対応だけでなく、コストや品質の管理、市場の変化に素早く対応できる柔軟なサプライチェーンの構築が競争力を左右することになりそうだ。

◆AI活用で生産効率35%向上

チョンブリー工場では、デジタル技術によって製造工程全体を連携させる「スマートマニュファクチャリング」を推進している。

一連の取り組みにより自動化率は約35%向上し、生産効率も35%向上。
製品品質についても28%改善したという。

品質管理には「AI Vision」を採用し、部品の欠陥や組み立て精度をリアルタイムでチェック。
製品の性能や安全性についても検査を行う。

◆工場で使用する電力の約50%を自給

環境負荷を抑える「グリーンマニュファクチャリング」も進めている。

工場では約12万8,000平方メートルにわたって太陽光発電設備を設置し、蓄電システムも導入。
これらを活用することで、工場で使用する電力の約50%をまかなうことが可能だとしている。

さらにデジタルプラットフォームを通じて、エネルギーや水の使用量、排出物などを管理、ロボットやリーン生産方式も取り入れ、資源の無駄を削減する。

◆タイから米国、カナダ、東南アジアなどへ輸出

チョンブリー工場では、窓用やセパレート型をはじめとする家庭用エアコンのほか、RV(キャンピングカー)向けエアコンなど多様な製品を生産している。

タイで生産された製品は現在、米国、カナダ、ブラジル、インドネシア、マレーシア、トルコ、ベトナム、フィリピンなどへ輸出されており、今後はさらに世界各国からの需要に対応できる体制を整える。

東南アジアでエアコン市場の大幅な成長が予測される中、ハイアールはタイを単なる国内向け生産拠点ではなく、アジアと世界市場を結ぶグローバル生産拠点として活用していく構えだ。

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