急激に縮小するタイのピックアップトラック市場。いすゞが政府に減税措置を要請。

タイの自動車市場で、かつて販売台数の約半分を占めていたピックアップトラックの需要が急激に縮小している。
いすゞのタイ販売会社は、家計債務の増加や自動車ローンの審査厳格化などが販売低迷の要因だとして、政府に購入者向けの税制優遇措置を求めた。

トリペッチ・いすゞセールス(Tri Petch Isuzu Sales)によると、2026年のタイ国内自動車販売台数は年間70万台に達する見通しだが、このうちピックアップトラックは14万台にとどまり、市場シェアは約20%となる見込みだ。

直近8か月間の自動車市場全体は、乗用車やSUVの販売増加を背景に前年同期比18%成長した一方、ピックアップトラックの販売はほぼ横ばいだった。

同社の佐藤マネージングディレクターは、ピックアップトラックの市場縮小がタイ経済全体に影響を及ぼすと指摘する。
タイ国内で生産されるピックアップトラックは、部品の現地調達率が90%を超えており、販売低迷は国内の自動車部品メーカーや関連産業にも波及するという。

販売低迷の背景には、高水準の家計債務、金融機関による融資審査の厳格化、エネルギー価格の上昇などがある。

佐藤氏は、政府による追加支援がなければ状況がさらに悪化する可能性があるとして、ピックアップトラックの買い替え促進制度や、購入費用の一部を所得税控除の対象とする制度を提案した。

具体的には、過去の消費刺激策「チム・ショップ・チャイ(ชิมช้อปใช้)」を参考に、購入費用のうち10万バーツを税控除の対象とする案を示し、実際に車を必要とする消費者が購入しやすい環境を整える必要があると訴えた。

いすゞの2026年1~9月の販売台数は5万2,800台で、前年同期比1.3%減少。
ピックアップトラック、PPV、トラックを合わせた年間販売台数は7万400台と、前年比4%減を見込んでいる。

一方、いすゞは需要回復に向け、一部モデルに新型「2.2 Ddi MAXFORCE Biturbo」エンジンを投入。
最高出力204馬力、最大トルク500ニュートンメートルを発揮する高性能エンジンを採用し、商品競争力の強化を図っている。

また、タイ工業連盟(FTI)は、トヨタ、三菱、いすゞ、日産、マツダ、ホンダ、BYDなど主要自動車メーカーの代表者を集め、国内部品の調達促進や投資拡大について協議した。

タイの自動車・自動車部品産業はGDPの約10%を占める重要産業で、政府の経済改革戦略「Reinvent Thailand」でも重点分野に位置付けられている。

FTIは今回の協議でまとめた産業振興策を、エクニティ副首相兼財務相に提出し、政府と民間企業が連携した支援策の実現を目指す方針だ。

燃料価格の高騰が頻繁に発生する現代に、燃費の悪いピックアップはニーズに合わなくなっているのかもしれない。

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