セター首相、就任4カ月で外国訪問最多記録を樹立も効果はほぼなし。大昔の「ランドブリッジプロジェクト」もコスト高との声も。

タイのセター首相は、就任わずか4カ月で首相としての外国訪問最多記録を樹立しましたが、国への経済的利益という点では、それを示すものはほとんどないとタイのメディアは辛らつな批評を行っています。

タイの主任セールスマンを名乗るセター氏は12月初旬、政府の目標はタイに資本と技術をもたらし、10年近く低迷してきた経済を揺るがすことだと語りました。
タイはここ数年、国際経済フォーラムで目立たつことができず、新たな貿易協定も締結できていないとして、経済を助ける二国間自由貿易協定の締結に失敗していることを例に挙げています。

スレッタ氏は9月初旬の就任から4カ月以内に10カ国を訪問しています。
彼は、ジョー・バイデン米国大統領、中国の習近平国家主席、日本の岸田文雄首相、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領など、世界の主要指導者のほとんどと会談しています。

首相は9月の国連総会と11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議のため2回も訪米しています。

また、テスラ、グーグル、マイクロソフト、JPモルガン、ブラックロックなど多くの巨大企業の最高経営責任者や上級幹部らと会い、彼らから数十億ドルの投資を受けたいとオファーしました。

スレッタ氏は最近、テスラがタイへの巨額投資を検討しており、タイ工場用に2,000ライ(790.70エーカー)の土地を探していると語っています。
同社の計画は電気自動車の組み立てラインよりも規模が大きい可能性が高く、東南アジアにおけるテスラのサプライチェーンの一部となる可能性があると同氏は話しています。

さらにセター首相は、インド洋と太平洋の間の海運の近道として「ランドブリッジプロジェクト」という大昔に出されたアイデアを引っ張り出し、タイの戦略的な地理的位置を活用したいと考えています。

1980年代後半に浮上したこの計画は、アンダマン海のラノーンとタイランド湾のチュムポーンとを結ぶ輸送ルートに1兆バーツを投資するというものでした。
これにより、交通量の多いマラッカ海峡とシンガポールの港を経由する船会社への代替ルートが誕生することになります。

スレッタ氏のプレゼンテーションによりますと、新しいルートにより輸送コストが15%削減され、経済に1兆3000億バーツの利益をもたらし、輸出の増加と28万人の雇用創出により国内総生産(GDP)率を年間1.5%上昇させると主張しています。

スリヤ運輸大臣は、少なくとも米国企業10社がこのプロジェクトに関心を示していると述べています。

しかし国内外のアナリストは、この高コストのプロジェクトがビジネス成り立つのかどうか、また巨額の投資に値するものかどうかを疑問視しています。
あるオブザーバーは、コンテナを船から降ろし、陸路約100キロメートルを輸送する列車やトラックに再び積み込んでから、またさらに別の船に積み込むのは不便で費用がかかり過ぎると述べています。

米国、中国、日本の企業は、いずれもこの陸橋プロジェクトについて直接コメントを出していません。
さらに地域の住民は、社会的および環境への影響について懸念を表明しています。

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