タイ不動産業界が抱える「時限爆弾」。2660億バーツの債務返済が待ち受ける、2025年より。
- 2025/5/4
- 不動産情報

タイの不動産業界は今、まさに金融危機の時限爆弾を抱えている状態だと言われています。
2025年4月から2026年12月にかけて、総額2660億バーツ超の不動産関連社債の償還期限が訪れます。
その多くは「高利回り」または「格付けなし」の高リスク債であり、デフォルト(債務不履行)に陥る可能性が極めて高いと警告されています。
2025年3月28日は多くのタイ国民にとって地震の記憶が残る日ですが、不動産開発業者にとっては、この年の「金融の嵐」の前触れとなる日として記憶されるかもしれません。
2025年のタイ経済は、世界的な景気減速、自然災害、米国の報復的貿易政策など、あらゆる方向から圧力を受けており、輸出低迷によるGDP成長率の下方修正も発表されました。
このような中で、不動産市場はもはや「低迷」ではなく「重体」と言えるほどの状況なのだと言われています。
政府は移転登記料や抵当権登録料の引き下げ、LTV(ローン・トゥ・バリュー)規制の緩和といった刺激策を打ち出していますが、市場の信頼と流動性がすでに失われた後に発表されたため、効果は限定的でした。
2025年第1四半期の数値がその深刻さを物語っています。
不動産移転件数は470億バーツの目標に対して、実際には320億バーツと、32%もの未達に終わりました。
主な原因の一つは、3月下旬の地震により消費者の購入判断が先送りされ、複数の建設現場が一時中断を余儀なくされたことです。
これを受けて金融機関は融資姿勢を一段と厳格にし始め、金融不安が債券市場へ波及する前兆となっています。
タイ・コンドミニアム協会によりますと、2025年4月から2026年12月にかけて償還を迎える不動産社債は、総額2660億バーツだと伝えています。
そして、その多くが高リスク(高利回り・格付けなし)であり、投資適格とされる社債でさえ投資家の信頼を得られていない状況です。
もし新たな資金が市場に流入しなければ、タイ史上初の不動産社債デフォルトが現実のものとなり、それに伴う連鎖的な信用不安(ドミノ効果)が金融システム全体に広がる恐れがあります。
このため、主要な不動産業界3団体は政府に対し、緊急提言を提出。その最重要課題として掲げたのが「流動性の確保」です。
今必要なのは、生ぬるい対策ではなく、全面的な経済介入です。
業界は次のような緊急支援を求めています。
・中小企業向けのソフトローン制度の導入
・タイ中央銀行による融資基準の一時的緩和
・債務の特別リファイナンスプログラムによる資金注入
これらを早急に実行しなければ、システム全体の崩壊を招きかねないと警鐘が鳴らされています。
結局、融資やローンに頼らざるを得ない支援策なら、必ずいつかは破綻します。
だってこれだけボコボコ無計画に新たな物件が建設されているのですから、どこかで天井が来るのは必至です。
それでもデベロッパーは建設を止めることはないでしょう。
なぜなら彼らはマグロと一緒で、建設し続けなければ利益を出すことができないからです。
そして売れなくなると政府に頼るというのは、お門違いというものです。