タイ・ピチャイ財務大臣、米国との通商交渉、成果なしで帰国。中国寄りのBRICS参加がアダに。

日本では、「万人に好かれようとする者は、誰の信頼も勝ち取れない」という言葉があります。
タイが正にそれなのかもしれません。

タイのピチャイ財務大臣が率いる交渉団は、米国との通商交渉第一ラウンドを終え、なんの成果を得られないまま、這う這うの体で帰国しました。
米国は関税決定の期限を7月9日から8月1日まで延長しましたが、中国との貿易抑制をめぐる圧力が強まっている状況です。

米国、新たな通商政策を発表:BRICS寄り国家に10%追加関税

米国は、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)に政策的に接近する国に対して、追加で10%の関税を課す方針を明らかにしました。

また、AIチップの対中輸出制限も発表されており、これによりタイやマレーシアなどのチップ輸入国が直接的な影響を受ける可能性があり、域内投資にも波及する懸念があります。

タイ、ベトナム型の関税提案を検討

これを受け、タイ代表団は米国製品に対して0%の関税を提案する新しい税制モデルを打診する可能性があります。
これは完全に、ベトナムが採用した通商モデルのパクリです。

現在、米国はベトナム製品に対して20%の関税(以前は46%)を適用しており、第三国経由でベトナムを通過した製品には40%の関税を課す方針です。
米国への輸出には原産地証明書の提出が必須となっており、税関監査や貿易執行調査によって厳格に管理されます。

タイ日和見外交ようやく重い腰。米国の新相互関税に対し、特使を派遣。

 

ベトナムの成功と課題:経済成長と通貨下落の両面

米越間の合意により、ベトナム経済は今年6.7%成長と予測されており、当初の5.3%から上方修正されています。
一方で、ベトナムは米国からの輸入拡大や関税撤廃により、長期的には貿易黒字が縮小する見込みです。

すでに26,195(ベトナム)ドン=1ドルという過去最安値を記録しており、これは対米黒字がベトナム通貨を支えていたことを裏付けています。
加えて、不動産や金融分野の問題により、過去2年間で株式・債券市場からの資本流出も発生しています。

タイに迫る選択:競争力維持か、国内産業保護か

タイ政府は、8月1日までに米国との合意を取りまとめなければ、ベトナムやマレーシア、インドネシアといったASEAN競合国に対して不利になる可能性があります。
特に電機・電子・自動車部品といった主要輸出分野では、36%の関税が適用されれば、米国市場での競争力を失う恐れがあります。

一方で、米国製品、特に農産物を関税ゼロで受け入れる場合、国内農家や中小企業に打撃を与える懸念もあり、バランスを取るのが極めて困難な状況となっています。

 

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