タイ輸出ランキング、トヨタが1位の座から転落。加速するEV車への移行。2025年の目標も危うし。

これは日本の未来に大きく関わることです。

タイの長年にわたる自動車輸出産業は、世界的な電気自動車(EV)への移行が加速する中、大きな課題に直面しています。

従来、内燃機関(ICE)車の生産拠点として強い影響力を持っていたタイですが、主要な日本メーカーの輸出ランキングが低下し、現在は電子機器産業がリードする状況となっています。

日本メーカーの輸出順位が低下

タイ商務省および税関局のデータによりますと、主要自動車メーカーの輸出順位が顕著に下がっています。

2023年の輸出トップ だったトヨタ・モーター・タイランド は、2024年には2位に転落。
首位はWestern Digital Storage Technologies に奪われています。

トヨタ・ダイハツ・エンジニアリング&マニュファクチャリング(TDEM) も3位から4位に後退。

三菱自動車タイランド や いすゞインターナショナル・オペレーションズ・タイランド も同様にランクを下げています。

この傾向の背景には、中国が主導するEV市場の急成長 があると専門家は指摘します。
「内燃機関車(ICE)の輸出減少は、環境に優しい車両への需要増加と直接的に関連しています。
世界的なEVシフトの中で、ICE車は競争力を失いつつあるのです。」

中国EVメーカーの台頭とICE部品サプライチェーンの変化

さらに、中国EVメーカーがタイに次々と生産拠点を設立することで、従来のICE部品のサプライチェーンが混乱をきたしていると言います。
これにより、タイの部品メーカーはEV向け部品の生産へ転換を迫られることとなっています。

タイ工業連盟(FTI)自動車業界グループの広報担当者スラポン氏は、ICE車輸出に影響を与える要因を以下のように語っています。

・電子機器産業の成長:技術革新による電子機器の輸出増加が、自動車産業の優位性を薄れさせている。
・中国EVの市場侵攻:タイの主要輸出市場に中国EVが進出し、競争が激化。
・モデルチェンジの影響:一部のメーカーはモデルチェンジを実施中で、消費者が購入を先送り。
・排出ガス規制の強化:貿易相手国の厳しい炭素排出基準が、特定のICE車の輸出を制限。
・貿易摩擦の不確実性:特に米国の貿易政策の不透明感が、タイの貿易パートナーの決定を遅らせている。
・地政学的リスク:世界的な紛争や政治不安が、消費者の購買意欲に影響。

トヨタはビジネスモデル転換へ—政府支援にも期待

トヨタ・モーター・タイランドのスパコン副社長は、現状を踏まえた対応策について以下のように述べています。

「私たちは市場の現実に適応するために、ビジネスモデルや投資戦略を調整しています。
コスト削減や新技術の導入に注力するとともに、ハイブリッドEV(HEV)の重要性を強く認識しています。
EVメーカーの地元生産・調達の促進 も重要な課題です。」

同社は2025年の輸出台数目標を調整し、市場の変化に対応しています。

さらに、タイ自動車業界は国内販売促進のため政府支援を求めており、中小企業信用保証機構がピックアップトラック購入のための融資保証を提供する予定です。

スパコン副社長は「政府の景気刺激策が国内市場の回復を後押しすることを期待している」と述べています。

2025年の自動車生産目標は150万台

タイ工業連盟(FTI)は、2025年の生産目標を150万台(うち輸出100万台、国内販売50万台) に設定しています。
しかし、2024年の輸出台数が8.8%減少 しており、EVシフトが進む世界市場の中で、この目標の達成は依然として大きな課題となっていると伝えられています。

 

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