BYD、中国国外初の乗用車生産拠点ラヨーン工場の全容公開。年産15万台体制に。

中国の電気自動車(EV)大手BYDは、タイ東部ラヨーン県の生産拠点を公開した。
タイへの投資額は工場を含め350億バーツ超に達し、年間最大15万台の生産能力を有する。
部品の現地調達率は約50%、雇用者数は6,000人を超えるという。

同工場は、BYDにとって中国国外初の乗用車生産拠点だ。
現在は「DOLPHIN」「ATTO 3」「SEAL 5 DM-i」「SEALION 5 DM-i」「SEALION 6 DM-i」の5モデルを生産しており、累計生産台数は10万台を突破した。

従業員の約95%はタイ人で、タイ国内の部品メーカー・サプライヤー266社以上と取引する。
輸出拠点としての役割も強まり、今年上半期は生産台数の40%を輸出した。
累計輸出台数は2万4,000台を超え、ASEANや南アジア、オーストラリア、欧州など10カ国に出荷している。

◆組立だけでなく、主要工程をタイ国内で

ラヨーン工場の特徴は、単なる完成車の組立工場ではなく、プレス、塗装、溶接、バッテリーパック、ワイヤーハーネスなど主要な生産工程を備えている点だ。

溶接工場には520台のロボットを導入し、最大10車種、毎時45台の生産に対応する。
また、BYDにとって中国国外初となるブレードバッテリーのPACK生産拠点も設置し、年間最大15万セットを生産できる。

BYD Auto(Thailand)のBenson Keゼネラルマネージャーによると、技術系の副マネージャーや部門責任者の多くをタイ人が務めているという。
現在の工場長は中国から派遣されているが、将来的にはタイ人材を育成し、工場長への登用も目指すと語っている。

◆新税制見据え、タイ生産拡大も

BYDとタイで販売を担う「Rêver Automotive」 (เรเว่ ออโตโมทีฟ)は、タイ政府が検討している自動車税制の変更を見据え、生産・輸入計画の見直しを進めている。

Ke氏は、将来完成車の輸入関税が30%を超える水準まで上昇すれば、輸入車の負担が増し、タイ国内での生産が拡大する可能性があると指摘する。
国内生産の増加は、雇用や税収、現地部品調達の拡大にもつながるとの見方を示した。

一方、現時点ではタイ生産車のコストは、中国からの輸入車より高いという。
中国に比べて生産台数や部品生産量が少なく、規模の経済を十分に生かせていないことが理由だ。

RêverとBYDは、新税制の詳細を見極めながら、今後タイで生産する車種と輸入する車種を再検討する。
特に現在完成車として輸入している「DENZA」や一部のBYD車が影響を受ける可能性がある。

◆HEV系モデルの生産比率拡大へ

BYDはタイのEV市場が引き続き成長するとみる一方、充電インフラの不足を課題に挙げている。
特にコンドミニアム居住者など、自宅充電が難しい消費者への対応として、プラグインハイブリッド技術「DM-i」を重視する。

現在、タイ工場の生産比率はBEVが70%、HEV系が30%。BYDは今後、HEV系モデルの比率がさらに高まるとみている。

タイを中国国外の重要な生産・輸出拠点と位置付けるBYD。
新税制を追い風に現地生産をどこまで拡大し、規模の経済によるコスト低減につなげられるかが今後の焦点となる。

彼(かれ)を知り己(おのれ)を知れば、百戦(ひゃくせん)して殆(あやう)からず。
敵状を知ることも必要です。

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