タイ、中国人観光客の回復長期化。現地担当者「誠実さこそ鍵」。政府のいう「安全」はウソだとバレてる。

タイへの中国人観光客は、パンデミック前の水準に当面戻る見込みはなく、過去の危機とは明らかにことなっています。
タイ国政府観光庁(TAT)は市場活性化に向けた取り組みを強化し、2026年の中国人訪問者数を2024年と同水準にすることを目指しています。

中国人観光客の減少は、すでに約6か月間にわたりタイ全体の観光統計を押し下げています。

誘拐拉致などの安全面の懸念に加え、中国人の「灰色資本」(というか闇企業)をめぐる問題や、SNS上の議論によってタイ人の中国人旅行者への印象が悪化していることも要因です。
こうした空気により、中国人観光客の間で「以前ほど歓迎されていない」という感情が広がっています。

さらに、中国政府はコロナ後の景気減速を受けて国内旅行を積極的に促進しており、日本やベトナムといった競合国の台頭もタイの魅力を弱めています。その結果、中国人団体ツアーはこれらの国を選ぶ傾向が強まり、タイへの渡航は少人数グループや個人旅行(FIT)が中心になっています。
最近のタイとカンボジアの衝突も、旅行意欲を下げる一因となっていると当局はみています。

こうした状況から、中国人観光客数が近い将来にコロナ前のピーク(1,100万人)へ戻る可能性は低く、TATは今年の訪問客の最大見込みを500万人としています。
2026年は約690万人を目標とし、今年後半の政府経済刺激策の一環として観光振興資金を投入し、需要を高める計画です。

TAT、中国市場攻略を強化

TATのタパニー代表は、タイ旅行業協会(ATTA)と連携し、重慶、蘭州、杭州という潜在性の高い3都市を回る「TAT & ATTA ロードショー2025」を実施。
50社以上のタイ企業が参加し、300社以上の中国企業との商談を通じて市場拡大やパートナーシップ強化、具体的な二国間旅行の機会創出を図っています。

政府間(G2G)や市民間(P2P)の観光・文化交流による信頼構築にも注力します。

「誠実さ」こそ鍵。言うだけはバレている

TAT東アジア担当局長は、中国市場は「100%安全」という一方的な宣言よりも、誠実な説明を求めていると指摘しています。
「中国人はタイを好んでいるが、正直さを求めている。どこも完全に安全ではないことは理解している」と述べました。
政府の発信は矛盾を避け、ネガティブな報道を最小限にすべきだとしています。

2025年のタイ・中国国交樹立50周年に向け、今年後半には10月の「ニーハオ月間」や、中国都市との公式チャネルを使った観光相互プロモーションなど、多くの施策が展開されます。
中国人旅行者の平均支出は約52,000バーツと過去(47,000〜48,000バーツ)より増加しており、TATはインフルエンサーよりも一般旅行者の発信を重視する方針です。

本誌でもこれまで何度も言ってきましたが、「口だけ番長」ではだめなんです。
インフルエンサーの金持たせてウソの宣伝をし、人を騙して連れても、今はネットの世の中、すぐばれてしまうんです。
プロパガンダのやっつけ仕事ではなく、きちんとした対策をやっているのかどうかは、中国人でもわかってしまうということなんです。
そして、たとえ安全面をクリアーすることができたとしても(そもそもかなり難しそうだが)、タイ観光のレベルの底上げをしないと「飽きられている」という点で結局戻ってこないという部分も忘れてはいけません。

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