タイ日和見外交ようやく重い腰。米国の新相互関税に対し、特使を派遣。

ドナルド・トランプ米大統領による大規模な新関税措置に対し、世界市場が動揺を示し、景気後退への懸念が高まる中、タイはようやく米国との交渉を開始することになりました。

4月6日、ぺトンタン首相は、米国によるタイ製品への関税導入を受け、タイが交渉に臨むことを発表しました。
ピチャイ副首相兼財務大臣が、米国に赴き主要関係者との協議を行う予定です。

タイ首相は声明で「タイは単なる輸出国ではなく、長年にわたり米国の信頼できる経済パートナーであり同盟国です」と主張しました。

今回の関税措置は、特に電子機器、加工食品、農産物といったタイの輸出産業にとって大きな打撃となります。

●タイ政府の交渉戦略

タイ政府は、以下の方針を掲げています:

・エネルギー、航空、農業分野での米国への輸出増加提案
・米国の農業・産業団体との連携
・米国へのタイ企業の投資促進
・輸入障壁の緩和と原産地偽装の防止

タイ首相は、中小企業支援を含めた即時および長期的な対策を講じる準備があると企業に向けて保証しました。
中東、ヨーロッパ、インド市場への輸出拡大や、自由貿易協定(FTA)交渉の加速も視野に入れています。

●トランプ関税の適用詳細

商務省事務次官兼米国通商政策作業部会議長のウッティクライ氏によりますと、関税は以下の2段階で実施されます。

第1段階(2025年4月5日 0時1分 米国時間)

すべての国からの輸入品に一律10%の関税

第2段階(2025年4月9日 0時1分 米国時間)

国別の「相互関税」措置、タイ製品には36%の関税が適用

なお、関税導入前にすでに米国へ輸送中の製品には、新たな36%関税は適用されません。

また、以下の商品は既存の措置が対象となるため、新たな相互関税から除外されます。

・鉄鋼およびアルミニウム製品(2025年3月12日発表の25%関税)
・自動車および自動車部品(2025年4月3日発表の25%関税)

銅、医薬品、半導体、加工木材、特定鉱物、エネルギー製品などは、今後別途25%関税が発表される可能性があるとのことです。

●米国政府の立場

一方、スコット・ベッセント米財務長官は「不公平な通商慣行は数日や数週間で交渉できるようなものではない」と述べ、交渉は長期化すると見通しを示しています。

ハワード・ルットニック商務長官も「関税は予定通り実施される」と明言し、「トランプ大統領は世界貿易のリセットが必要だ」と強調しています。

トランプ大統領自身もフロリダでゴルフを楽しむ傍ら、「私たちは勝つ!頑張れ、簡単にはいかないぞ」とSNSに投稿しました。

ASEAN諸国の反応

4月2日の関税発表後、ASEAN諸国では地域連携の動きが見られています。

ベトナムは、米国との合意を条件に関税をゼロにする可能性を模索しており、カンボジアは自国製品への49%関税延期を正式に要請しました。

インドネシア、マレーシア、フィリピンも同様の交渉戦略を準備中と報じられています。

米国家経済顧問ケビン・ハセット氏は、「各国は怒り、報復しつつも、交渉の場に来ている」と述べ、50カ国以上が協議入りを申し出ていることを明らかにしました。

4月9日の関税実施日が迫る中、東南アジアでは経済の不透明感が広がっています。

タイの基本外交は「日和見」です。
状況を見て、強い方にとりつくという手法で、これまでも独立国家を維持してきました。
ただ今回のケースでは少し動くのが遅かったようです。
ベトナムをすでにトランプ大統領から、良い返事をもらっているようですし、それを見て動いたものと思われますが、ビジネス感覚に優れたトランプ氏には単なる「信念のない、無節操な国」と思われたかもしれません。

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