世界が注目!タイ最古!約3万年前の人骨を発見! 氷河期の人類「パンポン」@プラチュアップキリカーン。

2月24日、タイのプラチュアップキリカーンにあるカオサームローイヨート国立公園で、29,000年前の氷河期の人骨 が発見されたと、タイ芸術局(FAD)と、国立公園・野生動物・植物保護局(DNP)が共同で発表を行いました。

この発見は、タイ国内で最古の現生人類(ホモ・サピエンス)の人骨であり、当時の埋葬儀式の存在も示唆される重要な考古学的証拠となるとして、世界的にも注目を浴びています。

カオサムロイヨート国立公園では、1996年にブンブア洞窟で最初の古代壁画が発見 されていました。
その後、2017年には同地域のフーブタコートのホー洞窟でさらに壁画が発見され、いずれも同時代のものと考えられていました。

そして2020年、タイ芸術局は西タイ地域の先史時代の考古学的調査を開始し、カオサームローイヨートに住んでいた古代人の文化や生活様式を解明するため、国立公園の職員と共同で発掘を行っていました。

この調査により、新たに7つの考古学遺跡が発見され、その中の「タムディン洞窟」が最も重要な発見の場となりました。

タムディン洞窟の詳細と発見された遺物 

  • 洞窟の標高:海抜125m
  • 入口の幅:約9.5m
  • 内部構造:5区画(うち3つに古代壁画あり)

考古学的発見

・貝殻、動物の骨、植物の種子などの遺物を大量に発掘

・地表から約2mの深さで人骨を発見(子供の骨)

・発掘チームは、この人骨を「パンポン(Pangpond)」と命名

人骨「パンポン」の分析結果 

発掘された人骨は、6〜8歳の子供 のものであることが判明しています。

今回の分析では、放射性炭素年代測定(AMS法)を用いたため、木炭や貝殻5つのサンプルをアメリカのBETA ANALYTIC社 に送付しました。

その結果、タムディン洞窟には29,000年前から11,000年前まで人類が居住していたことが判明しました。

「パンポン」の人骨は最深部(約2mの深さ) から出土しているため、少なくとも29,000年前のものであると推定されています。

また、発見された人骨は、現生人類(ホモ・サピエンス)に分類され、タイで発掘された最古の人骨として記録されました。

この時代は、更新世後期(Pleistocene, 最後の氷河期) に該当し、現在よりも寒冷で、海面が低かったため、タイとインドネシアは陸続きであったと考えられています。

埋葬儀式の証拠 

「パンポン」の人骨は、仰向けの状態で埋葬され、頭部は南東方向を向いていました。

また、遺体には以下のような埋葬儀式の痕跡が確認されています。

・繊維で遺体を包んでいた可能性

・頭蓋骨や胸部に石が置かれていた

・遺体の周囲に「赤色顔料(酸化鉄)」が撒かれていた(生命や血を象徴する可能性)

・燻蒸(くんじょう)の痕跡あり(動物による損傷防止のため)

これらの特徴は、氷河期における埋葬儀式の一環であると考えられています。

今回の発見により、国立公園・野生動物・植物保護局(DNP)は、カオサームローイヨート国立公園を歴史遺産の観光地として整備し、将来的には「自然と考古学を融合した観光ルート」 を開発する計画を進めているとのことです。

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