博報堂生活総合研究所アセアン「アセアン生活者研究2022」を発表~「アセアンのファンダム」の特徴を分析

好きなモノコトを仲間と共に楽しむ「アセアンのファンダム」の特徴を分析
単純に楽しむだけのファン集団から新たな経済圏や生存圏を有する「MATTER-VERSE」へ進化~

博報堂生活総合研究所アセアン(以下、生活総研アセアン)は、『Into the Fandom ~アセアン生活者がファンダムに熱狂する理由を探る~』をテーマに、アセアン生活者の意識・行動に関する調査・研究結果と、マーケティングへの示唆を発表する「アセアン生活者研究2022」を実施いたしました。
「ファンダム」(=fan+kingdomの造語※1)とは、一般的に「アイドル・漫画・スポーツ・趣味などの分野の熱心なファンである人々、また、その熱心なファンによって形成される世界と文化」と定義されており、日本では最近トレンドワードになっている「推し活」と表現されることもあります。
※1)”fandom”の語源はfan+dom(十国家、集合体を表す接尾辞)など諸説あります。

生活総研アセアンは、アセアン6か国と日本※2において、ファンダムに熱中する「ファンダム生活者」の、ファンダムと出会ったきっかけ、ファンダムで仲間と活動している内容、ファンダムで得られるベネフィット、ファンダムコミュニティの構造や存在意義などについて定量調査、インタビューを実施しました。
※2)調査対象国=タイ、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、*日本(*定量調査のみ)

その結果、ファンダムでアセアン生活者が得ているものは、単純な楽しさや毎日のストレス発散だけでなく、自己の「創造力の発揮」や、「第二の家族」的な人との繋がりや帰属意識、「数の力」で世の中に変化を起こす醍醐味などがあることが分かりました。また、コミュニティに集うアセアンファンダム生活者は全てにおいて「平等」であり、ヒエラルキーのない社会はある種の理想の社会として彼らの拠り所となっていることが判明しました。

一方で、アセアン生活者はファンダムで満たしたい“Matter”=「大切な願い」として、「大切にされたい」「何かを大切にしたい」「大切な悩みや願いを叶えてくれる」を挙げており、彼らがファンダムに熱狂しているのは、ファンダムで得られるベネフィットや価値を、現実世界では獲得できない、満たされないという課題も浮かび上がりました。

コロナ禍でますます広がる経済格差をはじめ、政治、環境、ジェンダーなど、生活者の力だけでは解決が難しい社会課題がアセアンには存在しています。アセアンではファンダムの存在が「全てが対等で平等であり、新たな経済圏や生存圏を有するユートピア」となっていると考えられます。

それらの結論から、生活総研アセアンでは、現実社会での達成が難しい、アセアン生活者の心を強くつかむファンダムを『マターバース(MATTER-VERSE)』=「生活者の大切な願いに応える理想の共同体」と名付けました。

 本リリースでは、定量調査の一部をご紹介いたします。

【アセアンファンダムコミュニティの特徴】

  1. 「創造力」:一緒に楽しむために、イベント企画やグッズ作成など、みんなで協力しながらクリエイティビティを発揮
  2. 「第二の家族」:家族のように心から信頼し、ファンダム以外の事柄でも相談出来たり助け合えるピュアな共助関係
  3. 数の力」:集い、協力し、集団の数の力を活かし、ファンダムトピックや社会のために影響力を発揮。世の中に変化を起こす醍醐味を体験
  4. 「平等性」:好きの気持ちで繋がるため差別や偏見がなく、ひとりひとりが等しくリスペクトされるユートピア

【アセアン生活者がファンダムで満たしたい、3つの“MATTER”=「大切な願い」】

  1. 大切にされたい(”To matter”)
  2. 何かを大切にしたい(”To have something that matters”)
  3. 大切な悩みや願いを叶えてくれる(”To have my hopes that matters fulfilled”)

■アセアンファンダム生活者と日本ファンダム生活者の特徴

【ブランドのファンダム】

  • アセアンファンダム生活者の約83%が「熱狂するように好きなブランドがある」と回答。
    (日本ファンダム生活者は約54%。)
  • ブランドのファンになる理由は、①高品質な製品やサービス・高いデザイン性 ②エモーショナルな価値・アクション ③魅了的なファンコミュニティ が挙げられる。

生活総研アセアンは今後も、アセアン生活者の意識・行動に関する研究を通じ、アセアンにおける企業のマーケティング活動を支援してまいります。

詳細はウェブサイトで! https://hillasean.com
生活総研アセアンWebサイトにて、本研究の特設ページを公開いたしました。調査結果の詳細と研究内容の解説および、今後のマーケティングの示唆などをご紹介しております。併せてご参照ください。 

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