11月1日から始まる観光業再開計画。しかし、タイ人の反応はウェルカムではないようです。

10月11日月曜日のプラユット首相が全国放送で演説した、11月1日から始まる段階的な観光業再開計画についてはさまざまな反応がありました。

日本人、特にショートトリップを楽しみたい人たちには、面倒なASQ(隔離検疫)がなくなり、大方ウェルカムだったに違いありません。
ですが、実際にそこに住んでいるタイ人たちの反応は、そうではないようです。

現在、最高値から半減したとはいえ、以前新規感染者数と死亡者数は高いままで、ワクチン接種率は低いままな状況です。
タイの新型コロナ新規感染者数は、過去6日間で平均1万件を超えていますが、2回のワクチン接種が済んだものは約2,380万人、つまり人口の34%にすぎません。
そして、その多くは効果の期待できない中国製シノバックワクチンであり、ブースターショットなどのなんらかに追加措置を必要としています。

このような観光業優先策について懐疑的意見がSNSでは多く飛び交い、タイ語のハッシュタグ#Prayutと#ReopeningTheCountryがTwitterでトップトレンドになっています。
その中には「タイに来たいと思っているすべての人は、勇気があればここに来てください…」というツイートもありました。

さらに、12月1日からのいくつかの制限の緩和、特にアルコールの販売と消費の禁止の解除と風俗産業の再開のニュースに喜ぶ人もいれば、なぜバーが再開できるのに学校は閉鎖されたままになるのか疑問に思う人もいます。

一方、野党タイ貢献党は、11月1日に外国人旅行者にタイを再開するという政府の決定に反対しないが、新型コロナ感染の流入と再発の見通しに対処する国の準備ができているかどうか疑わしいと述べています。
党副事務総長のパオプーム氏は、「問題は、再開するかどうかではなく、再開する方法とそれに対処する準備だ」と述べています。

彼は、タイは準備が整っていないことを指摘し、観光客に人気のあるいくつかのエリアで新型コロナ感染率は依然として高く、ワクチン接種率は国の人口の70%未満であることを指摘しました。 

プラユット首相は昨日の演説の中で、国の再開後に感染者数は増えると予想しているが、これは一時的なものになるだろうと見ています。

 

「人類は絶滅しない」というロジックから考えれば、新型コロナで死亡する人など一時的なものかもしれません。
ただそのせいで死んでいった人に、どのような言葉をかけることができるのでしょうか。
この観光シーズンに何が何でも観光客を呼び込むという利権がらみの思惑優先の考え方に、タイ国民はきちんと着目しています。
野党党首が言うように、明らかな準備不足の見切り発車でしょう。

それでもその結果は、上手くいくのかもしれません。
それは日本が証明してしまいました、あきらかな見切り発車で、なんとなく上手くいってしまった東京オリンピックがそれに該当するでしょう。

ただ「人類は絶滅しない」のかもしれませんが、踏み台にされて死んでいく人や、子供たちの未来が犠牲になっていることも、もう少し考えて欲しいものです。

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