第3波の発生源クリスタルクラブへの捜査の現状とその障壁。

タイのバンコクポスト紙が、今回の第3波の発生源とされるトンローの歓楽街「クリスタルクラブ」についての続報と考察を行っています。
内容が受け取り方によっては、現政府批判ととれなくもないので、本誌ではあくまでもバンコクポスト紙の記事内容の紹介であることを強調させて頂きます。

クリスタルエクスクルーシブクラブで「VIP」の客がリムジンから降りると、ティアラや天使の羽などを身に着けた若い女性が迎えてくれます。

「VIP」の顧客は、壁にクッションがあり、豪華なソファが置かれた「VIP」ルームに連れて行かれました。
タイ政府の大物は、外交官、陸軍将校、ビジネス オーナーと一緒に、クリスタルでこのような女性らとパーティーをしました。

そしてこの4月、「クリスタル」(トンローソイ25)ともう一つの発生源「エメラルド」(トンローソイ13)では、日本大使やタイ政府大臣、クラブで働く女性や警察官など、クラブに通ったことのある多くの人々が陽性反応を示し第3波が始まりました。

多くのタイ人が、マスク着用のルールと新型コロナ禍での制限に服従を示しているにもかかわらず、一部の特権階級の人々がそれを放棄したことが、バンコクでの最新のコロナウイルスの流行を引き起こした、とタイ保健当局は述べています。
ナイトクラブでのクラスターは、主要経済国の中で最も貧富の差が大きい国の1つである、富裕層への不処罰も浮き彫りにしています。

第3波以前はのタイでは数か月間、感染が抑えられていたが状態でしたが、現在は最上層の富裕層の男性を相手にする豪華なナイトクラブから、バンコクの高速道路や鉄道線路に隣接するスラム街の貧民層までに広がっています。
そしてさらにこの感染症は、刑務所、建設キャンプ、工場にも拡大を見せています。

「金持ちがパーティーを行い、貧しい人々がその余波に苦しむ」と、コロナウイルスが数百人に感染した首都最大のスラム、クローントゥーイの近隣議長シッティチャット氏は語ります。

タイのスーパーエリートとして知られる「プーヤイ」と呼ばれる階層は、海外ツアーを予約して自国では入手できないワクチンを手に入れることができます。
ロシアでのワクチン接種ツアー22万バーツの旅は、7月まで予約でいっぱいです。
しかし、貧しい人々は戦います。
スタジアムやその他のエリアに設置された無料の政府仮設病院では、多くの人がベビーベッドを待たなければなりません。
一方で、軽症の富裕層たちは、高価なホテルを仮設病院としたその部屋で回復を待つことができます。

「社会は非常なまでに不平等です」と、タイ北東部の農家の家族を支援するためにバンコクに来た乳製品会社の従業員ムティタさんは言います。
「プーヤイは新型コロナウイルスの状況そのものを破壊し、私たち小人は生きることすらできません」

4月27日、ムティタさんの妹、バンコクのショッピング モールで食料品店員として働くスパトラさん(40歳)は、検査を受けるために午前3時に政府の試験場に到着しました。
彼女は一日中待っていましたが、その次の日も次の日も待つ必要がありました。
彼女が待っている間、スパトラさんは疲労と胃の問題を訴えるメールを送っていました。

彼女はついに5月1日に検査を受けました。
結果は陽性で、5日後に死亡しました。

「人は落ち葉のように死んでいきます」とムティタさんは主張します。

バンコクの裁判所は、クリスタルとエメラルドのマネージャーに、Covid緊急命令に違反したとして2か月の懲役を宣告しましたが、これまでのところ、他の誰も罪に問われていません。
警察はタイでは違法である売春が、クラブで行われた可能性があるかどうかを調査していると言います。
そのことについて、両クラブの代表はコメントを拒否しています。

「クリスタル事件については、まだ調査中です」と、バンコク警視庁の司令官であるソポン・サラパット少将は主張します。
「容疑者が自首するのを待っている。そのようにクラブのオーナーに手紙を送った」と。

しかし有名な大物や政治家が事件に巻き込まれた場合、タイの捜査は行き詰まる傾向があります。
殺人罪は成立しない。つながりのある個人は亡命する。
タイの新型コロナウイルス第3波は、疑わしいビジネスでの金持ちらの行動が浮き彫りになり、タイの影のゾーンにスポットライトが当たりました.

昨年春の最初の流行は、ウイルス学者によってスポーツ賭博で収益を上げている国の強力な軍隊が運営するバンコクのボクシングスタジアムが表ざたになりました。
2番目のクラスターは、昨年末、保健当局によって、近隣諸国から人身売買された外国人労働者で暗躍する入国管理官やその周辺を取り巻く人々、搾取工場と名高いシーフードビジネスにも焦点が当たりました。
そして3番目の事件は、法執行機関との蜜月ぶりが公然の秘密であるナイトクラブに端を発しています。

「タイの文化では、笑うと同時に嘘をつくことができます」と、反汚職運動家で元国会議員のチューウィット氏は主張します。
「おそらく政治家として生き残るためには、それは問題ありません。しかし、それが新型コロナウイルスである場合、これは非常に危険です」

チューウィット氏は政界に入る前に、バンコクにあるヴィクトリアズシークレットなどのマッサージ パーラーで一財を成しました。
彼は、自分のビジネスが警察への賄賂で賄われていたと語ります。
「クリスタルは別の政府庁舎のようなものです。なぜなら、政治家にとても人気があるからです」

今年、7年前にクーデターを起こした退役将軍プラユット首相は、もし誰かがクリスタルを政府の別庁舎だと揶揄した場合、法的措置に直面する可能性があると警告しました。

「すでに特権を与えられている金持ちが貧乏人を踏みにじっている」
「彼らは、お金で何でも買えると信じています。」
と、クロントゥーイスラムに住む女性は訴えています。

 

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