タイ国旗物語。赤一色から三色旗まで6度の変更に込められた、100年超に受け継がれる誇り。

タイの国旗「トン トライロング」(三色旗)は、実は現在の形になるまでに、6度の大きな変遷を経ていることをご存じでしょうか。

始まりはアユタヤ王朝期。
シンプルな赤一色の旗が国を象徴し、度重なる地域紛争の中でタイの存在と主権を示していました。

ラタナコーシン王朝初期に入ると、ラーマ1世が赤地に「チャクリー王朝のシンボルである白いチャクラ」を加えました。これは単なる装飾ではなく、王権が国の統一と統治の中心であることを示していました。

続くラーマ2世は、白い象を取り入れました。
象は権威・力・繁栄の象徴であり、タイ社会における文化的重要性を反映するものでした。

ラーマ4世の時代にはチャクラが取り除かれ、白い象だけが残されます。
シンプルなデザインは力強さと純粋さを象徴し、国民の王室への敬意と誇りを映し出しました。

最も劇的な変化が訪れたのはラーマ6世の治世でした。
最初は赤と白の縞模様の上に台座に立つ白象を配したデザインでしたが、第一次世界大戦期に世界各国が三色旗を採用する流れを受け、最終的に現在の赤・白・青の三色旗(トン トライロング)へと進化しました。

この3色は 国・宗教・王室 を象徴し、タイのアイデンティティの核心を表しています。

そして100年以上が経った今も、トン トライロングは全国で誇らしく掲げられています。
赤・白・青のストライプは視覚的な美しさだけでなく、国民の団結・伝統・強靭さを示す意味を持っています。

シンプルな赤旗から始まり、現在の三色旗に至るまで、タイ国旗の変遷は歴史と王権の影響、そして文化的誇りを映し出すものでした。

タイの国民の日や国際的な場、あるいは静かな街角で翻るとき、トライロングはタイの歴史と「団結・信仰・忠誠」という不変の価値を思い起こさせてくれりのです。

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