東南アジアに巣くう「汚職」の闇。タイは一日も刑務所に行かず釈放、ベトナムは死刑判決。

タイでは汚職で一日も刑務所に行かずして仮釈放される人がいますが、同じ東南アジアの国では汚職で「死刑」判決が下されています。
その国はベトナムです。

4月11日、ベトナムで行われている反汚職キャンペーンで、ベトナムの不動産王に死刑判決が下されました。

ベトナム史上最大規模の金融詐欺事件を画策した罪でホーチミン市の裁判所で死刑判決を受けた不動産王チュオン・ミ・ラン氏は、長年にわたってベトナムで最も重要な実業家の一人でした。
同氏は、2022年の国内総生産(GDP)の3%近くに相当する125億ドルに上る詐欺と、大手銀行を違法に支配し、270億ドルの損失をもたらした融資を許可した罪で有罪判決を受けています。

ベトナムは死刑執行率は世界で最も高い国の一つですが、テロや殺人などの犯罪に死刑を与えるのが一般的だと地元メディアは伝えます。
しかし、この国で金融犯罪による死刑判決は珍しいとも述べています。

この判決はベトナムで進行中の汚職撲滅運動の「大きな転換点」となったと言われています。

汚職撲滅キャンペーンは、ベトナムのトップ政治家であるグエン・フー・チョン共産党書記長の特徴でもあります。
79歳になる同氏は、汚職を党が直面する重大な脅威とみており、この運動は誰も触れられない「燃え盛る炉」になると表し、キャンペーンを象徴するスローガンにもなっています。

ベトナムがサプライチェーンを中国から移転しようとしている企業にとって理想的な拠点としての地位を確立している中、このことが外国投資家を不安にさせ、ベトナムの経済見通しを悪化させていると言われています。
ベトナムでは、この1年あまりですでに2人の国家主席が辞任しており、取り締まりに恐怖を感じた役人たちは照準を合わせられないよう何もしないという選択をし、国の官僚機構は停止状態に陥っています。

ラン容疑者の死刑判決はベトナムのビジネス界に「衝撃」を与え、将来に対する「不確実性」を生み出したとシンガポールのアナリストは語ります。

特に不動産セクターは低迷しており、2023年には推定1,300社の不動産会社が市場から撤退し、ハノイやホーチミンなどの主要都市では高層ビルが空き家となっています。
政府のデータによりますと、世界的な需要低迷と公共投資の減少に加え、ベトナムの経済成長率は2022年の8.02%から昨年は5.05%に低下しています。

もし国が途上国から先進国へと前進したいのであれば、途上国に巣くう「汚職」を一掃させる必要があるでしょう。
その中で、ある程度の経済低迷や犠牲は仕方のないことではないでしょうか。
この一瞬、今だけの経済状況を見て、判断するのはただの投資家の意見としか思えません。
政治は、自国民を幸せするために舵取っていく必要があり、それはただお金儲けをすればいいということではありません。

タイ政府も、これくらい真剣に取り組んでみてはいかがでしょう。
タイが汚職まみれな国であるのは、間違いなく政府に責任です。

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