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タイ、オンライン送金に新規制 1日上限5万バーツに設定 高齢者や子どもを狙う詐欺防止へ
- 2025/8/21
- タイローカルニュース

タイ中央銀行は火曜日、オンライン金融詐欺対策として、銀行に対し 多くのオンライン送金に1日あたり5万バーツの上限を設ける よう義務付けると発表しました。
特に子どもや高齢者など「脆弱な利用者」を守ることが狙いです。
この新たな規制は、東南アジアで盛んなオンライン詐欺産業に対抗する措置でもあります。
オンライン詐欺は世界的な問題で、各国で銀行に「顧客資産を守るため、より積極的な役割を果たすべきだ」という圧力が高まっています。
中央銀行のダーラニー副総裁(決済システム政策・金融消費者保護担当)によりますと、今回の施策は「一度に大金を送金できないようにして、犯罪組織が資金を移動させにくくする」ことが目的だと説明します。
これにより、不正資金を早期に凍結し、被害者が少なくとも一部の資金を取り戻せる可能性を高める狙いがあるといいます。
新ルールでは、送金限度額を顧客のリスクプロファイルと銀行の本人確認(KYC)評価に基づき 3段階(5万バーツ未満、20万バーツ未満、20万バーツ超) に設定します。
これまでの実績がある利用者は、従来通りの送金が可能とのこと。
施行は、新規モバイルバンキング・ネットバンキング利用者は今月末までに、既存利用者は年末までに 行われる予定です。
タイ国内にはおよそ1,200万人のモバイルバンキング利用者がいると言われています。
従来の規制では、1回あたり5万バーツを上限とし、顔認証が必要でした。
また、1日の合計上限は20万バーツに設定されていました。
しかし、詐欺被害は依然深刻で、2025年6月だけで 送金関連の詐欺は24,500件、被害総額28億バーツ に達しています。
1件あたりの平均被害額は11.4万バーツ、最大の被害は490万バーツにのぼったと伝えられています。
さらに、詐欺師は平均3分で被害額の半分を引き出す一方、被害者が警察に通報するまでに平均19〜25時間かかっているというデータもあります。
また、今年上半期だけで 15歳未満の子どもが関わる詐欺は78,468件、65歳以上の高齢者は416,453件 にのぼり、被害の深刻さが浮き彫りになっています。