タイ=カンボジア停戦も不信拭えず。トラート県観光客90%減。しかし本質を見失うな!

タイとカンボジアでの国境紛争において、現在停戦には合意したものの、トラート県チャーン島の観光業者らは依然として状況に不信感を抱いていると言います。

国境付近の緊張は、カンボジア人労働者不足や観光客の激減(約90%減とも)を引き起こしており、この状態がハイシーズンまで長引けば観光経済への長期的影響は避けられないと危惧しています。

元トラート県観光産業協会会長で、チャーン島でホテルを経営するサクシット氏は、停戦発表があったにもかかわらず、タイ・カンボジア両政府の政治的不安定さや政権の脆弱性が依然として不安材料だと指摘しています。

この国境情勢は、労働力不足にも直結しています。
サービス業や建設業で重要な役割を担ってきたカンボジア人労働者は、先月から帰国が相次ぎ、現在チャーン島に残っているのは定住者や家族を持つ人のみ。
ホテルやレストランでは地元タイ人やインターン学生で人員を補っている状況で、建設業は特に打撃が大きく、現在は東北地方(イサーン)出身労働者が一部残る程度だといいます。

チャイヤチェート リゾートのマネージャー、ポンティップ氏は「国境情勢が悪化して以来、島の観光は閑古鳥が鳴いている状態になった」と述べています。
多くの顧客が予約を延期またはキャンセルしており、特にこの時期の主力客層であるセミナー団体が全ていなくなりました。
観光客の間では「トラート県は危険」という印象が広がり、安全に渡航可能と説明しても予約は約90%減少しました。
他の島内事業者も同様の状況だと言います。

さらに、カンボジア人労働者の一部は家族の心配や財産保全のため一時帰国してしまいました。
事業者が説明や生活支援をしても、労働者の不安は払しょくされていません。

ポンティップ氏は、状況が年末のハイシーズンまで長引けば、打撃は計り知れないと懸念を示しています。

タイ=カンボジア国境紛争は観光客への影響だけでなく、勃発当初から本誌が指摘していた「労働不足」問題が深刻化しています。
そもそも観光客の減少は、タイ=カンボジア国境紛争前から永らく続いており、その原因への対策がなされていない状態でした。
一番最悪なシナリオは、すべての悪材料を「カンボジア」のせいにして、本質が見えなくなってしまうことです。
例えカンボジアと良好な関係を構築できるようになったとしても、おそらく今の状況は簡単に打破できないのではないでしょうか。

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