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また犯罪が増える?! タイ国王誕生日を祝し全国で8万人超の受刑者に恩赦。
- 2025/7/31
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タウィー法務大臣は、7月28日の国王陛下の誕生日を記念して、タイ全国の受刑者8万1,000人以上が恩赦を受けると発表しました。
恩赦の内容は即時釈放または刑期の短縮で、対象者の中には数千人が釈放され、その他も減刑の恩恵を受ける予定です。
恩赦は全国で8万人超に適用予定
タウィー大臣によると、正確な人数は矯正局からの最終報告を待っている段階で、全国で8万人を超える受刑者が対象となる見通しだと話しています。
記者から「政府間米取引(G-to-Gライス取引)に関与し有罪判決を受けた著名受刑者も対象になるか」との質問が出た際には、「残刑期間によって異なる」と述べました。
G-to-G米取引事件の有罪者は全釈放の対象外の見通し
特に、元商務大臣ブンソンとアピチャートに関する問い合わせに対し、タウィー大臣は次のように答えました。
・恩赦対象となるのは、既に仮釈放中の受刑者。
・ブンソンは残り刑期が3年5カ月あるため、恩赦は部分的な減刑(約3分の1)に留まり、即時釈放にはならない見込み。
矯正局が恩赦対象者を正式発表:合計81,333人
匿名の矯正局関係者によりますと、現在タイの矯正施設に収容されている216,522人のうち、81,333人が今年の恩赦の対象となることが確認されています。
恩赦の内訳は、以下の通りです。
・12,739人:即時釈放
・7,599人:減刑により近日中に釈放予定
・4,996人:罰金未払いの代替収監者で釈放
・55,999人:刑期短縮を受けつつ収監継続
これでまた、犯罪が増えそうですね。
G-to-G米取引事件とは?
「G-to-G(Government-to-Government)米取引事件」は、タイのタクシン派政権(特にインラック政権)時代に実施されたコメ担保制度に関連して発生した、国家規模の汚職事件です。
本来の「G-to-G契約」とは、国家間で政府同士が直接取引を行う仕組みで、仲介業者を排除し、透明性と公正性を確保することが目的ですが、当時のタイ政府が中国政府とG-to-G契約を結んだと偽り、実際には中国の民間企業にタイ米を安価で転売していたという事件です。
事件の概要
・タイ農民から高価格で買い取ったコメを、「中国政府に売却する」として中国企業にG-to-G名義で売却。
・実際には中国政府ではなく、中国の商社(民間)が買い取っていた。
・当時のタイ政府はこの「政府間取引」を装うことで、中抜きや賄賂の温床となる不正契約を正当化。
・国家に大きな財政損失(推定数百億バーツ)が発生。
主な関係者と処分
・ブンソン・テリヤピロム(Boonsong Teriyapirom)
当時の商務大臣。2017年に懲役42年の実刑判決。
・アピチャート・チャンサクンポン(Apichart Chansakulporn)
輸出関連企業の経営者。ブンソンと共謀。
・インラック・チナワット元首相
この米担保制度全体の失策により、職務怠慢で弾劾・訴追され、タイから逃亡。
事件の影響と意義
この事件は、タイにおける大規模な制度的汚職の象徴とされ、政権交代の引き金となっただけでなく、司法と軍の関与が政治に深く及ぶきっかけにもなりました。
また、「ポピュリズム政策」と「国家予算の私物化」のリスクが改めて浮き彫りになった事件です。