バンコクの名所「ジャイアントスイング」。その発祥の起源と儀式が行われなくなった理由とは?

バンコクの旧市街、ワット・スタット寺院のすぐそばに堂々とそびえ立つ「サーオチンチャー(เสาชิงช้า)」(ジャイアント・スイングとも呼ばれる)
その高さは21メートルにもおよび、ただのランドマークにとどまらず、バンコクの深い精神性と文化遺産を象徴する存在でもあります。

起源と儀式:「トリヤンパワイ」(พิธีโล้ชิงช้า)

この巨大な柱は、1784年、ラーマ1世の時代に建設されました。
当初の目的は、ヒンドゥー教の神シヴァを讃える「トリヤンパワイ儀式」のためでした。

儀式では、若く屈強な男性たちが、空中に吊るされた金貨の袋を目指してこのブランコに乗って高く漕ぎ上がるという、極めてスリリングで危険な挑戦が行われていました。

観客が見守る中、彼らは空高く舞い上がり、信仰と肉体の限界に挑む、それは肉体的な勇気と精神的な献身が一体となった、壮大な宗教的儀式だったのです。

儀式の廃止とその理由

しかし、この儀式は20世紀初頭に廃止されました。

タイの歴史誌『シルパ・ワッタナタム』によると、その理由には戦争や運営費用の増加もありますが、最大の理由は死亡事故や重傷事故の多発だったといわれています。

勇敢な試みの代償は大きく、多くの命が犠牲になったことから、最終的に儀式そのものが中止となりました。

現代に生きる象徴としての「ジャイアント・スイング」

儀式が廃止された後も、このブランコはバンコクの精神文化の象徴として立ち続けています。

今日では、バンコクの人気観光地のひとつとなり、写真スポットとしても有名です。
その高さと壮大さ、そして歴史的背景に惹かれ、世界中から観光客が訪れています。

「サーオチンチャー(เสาชิงช้า)」は今もなお、バンコクが持つヒンドゥー教との結びつきや、信仰と冒険心が共存していた時代の記憶を静かに物語っています。儀式こそ消えたものの、そのスピリットは、バンコクの人々と文化の中に生き続けているのです。

タイのアイドルBNK48の曲「BANGKOK 48」でも、「サーオチンチャー(เสาชิงช้า)」が出てくるので、効いたことがある人も改めて聞いてみて下さい。

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