ムーディーズ、タイの主要7銀行の信用見通しを『ネガティブ』に引き下げ~経済低迷と融資成長の鈍化~

4月30日、ムーディーズ・レーティングスは、タイ政府の信用見通しを引き下げたことを受けて、7つのタイの金融機関の信用見通しを「安定的(Stable)」から「ネガティブ(Negative)」に引き下げたと発表しました。

対象となる金融機関は以下の通りです:

・バンコク銀行(Bangkok Bank Public Company Limited:BBL)
・タイ輸出入銀行(Export-Import Bank of Thailand:EXIMT)
・カシコン銀行(Kasikornbank Public Company Limited:KBANK)
・クルンタイ銀行(Krung Thai Bank Public Company Limited:KTB)
・サイアム商業銀行(Siam Commercial Bank Public Company Limited:SCB)
・SCB X(SCB X Public Company Limited:SCBX)
・TMBタナチャート銀行(TMBThanachart Bank Public Company Limited:TTB)

ムーディーズによりますと、タイの主権信用見通しの引き下げは、同国の経済的および財政的な回復力に対するリスクが高まっていることを反映しています。
特に、米国による最大36%の関税措置が、タイの脆弱な経済回復に悪影響を与えており、将来的な成長の可能性を大きく損なう恐れがあります。

また、ムーディーズは、経済の弱体化がタイの銀行の信用の質をさらに悪化させる可能性があると警告しています。
すでに融資の伸び悩みや、新型コロナウイルスの影響による資産の質の悪化などの課題に直面しているからです。
さらに、経済環境の悪化により、必要な場合に政府がこれらの銀行を支援する能力が制限される可能性もあります。

ムーディーズは、仮にタイの主権格付けがさらに引き下げられた場合には、これら7行の信用格付けも連動して引き下げられる可能性が高いと指摘しています。
これは、各銀行の格付けが政府の信用力や政府支援への期待と強く結びついているためです。

一方で、ムーディーズはタイの発行体および現地通貨建て格付け「Baa1」を維持し、堅固な制度的枠組みや健全な政策運営がマクロ経済の安定を支えていると評価しました。短期の外貨建て格付けについても「P-2」を維持しています。

ムーディーズは最後に、タイの主権見通しが「安定的」に戻り、「Baa1」格付けが維持された場合には、今回影響を受けた7つの金融機関の見通しも再び「安定的」に戻る可能性があると結論づけています。

 

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