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日本人が調査したタイの飲料水に、チュラ大教授が反論。でもなんだか論点がずれているような…。
- 2024/9/20
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チュラロンコン大学理学部生物学科のジェート教授は、SNSを通じて、タイの飲料水におけるTDS(総溶解固形物)について説明しました。
日本人がSNSで、タイの市販の飲料水を調べ、シンハー水のTDSが他のブランドよりも高いという研究結果が話題になっていることを受けてのことでした。
教授は、TDSとは「硬水」かどうかを示すものではないと主張し、シンハー水が他のブランドよりTDS値が高くても、それは基準内であり、健康に害はないと強調しました。
検査の結果、シンハー水のTDS値が305ppmと最も高く、次いでMinere水が261ppm、そして他のブランドがそれに続き、最も低いのはJiffy水で2ppmでした。
問題は、SNS上で「TDS値が高いと水が硬い」という誤解が広がり、シンハー水が硬水であるとの誤解が生じたことだと教授は語ります。
多くの人が「それならシンハー水は硬水なのか、それは飲むのに良くないのか?」とコメントしましたが、これは誤りだとのことです。
TDS(総溶解固形物)は、水中に溶け込んだ無機物や有機物を含む固形物の総量を示す値であり、「水の硬さ」を示すものではありません。
シンハー水のTDS値が高くても、500 ppmを超えていないため、基準内であり健康に害はありません。問題なく飲むことができます。
TDS値は、水中に溶解している無機物、金属、イオン、植物の残骸などの総量を測定します。
タイの公衆衛生省の基準では、飲料水のTDSは500 ppmを超えないこととされています。
シンハー水の305 ppmは基準内であり、安全に消費できる数値です。
また、これは「硬水」を示すものではありません。
シンハー水やMinere水などのTDS値が他のブランドより高いのは、異なる浄水技術の結果だと語ります。
これらのブランドは、地下水などの天然水源を利用し、超微細フィルター(ウルトラフィルトレーション)で濾過しています。
これらは、ミネラルを多く含んでいますが、基準を超えない範囲です。
一方、TDS値が非常に低いブランドは、逆浸透膜(RO)を使用して水を濾過し、ミネラルや固形物をほぼすべて取り除いているため、TDS値はゼロに近くなります。
したがって、TDS値が500 ppm以下であればどのブランドでも安全に飲めますが、TDS値の違いによって水の味が異なることがあります。
特にROを使用してミネラルがほとんど含まれていない水と比較すると、その違いが顕著だと教授を説明しています。
環境未來株式会社の説明によりますと、水の硬度とは、水中のマグネシウムイオンとカルシウムイオンの含有量を示したものであり、国によって硬度の計算式は異なりますが、WHOでは「カルシウム塩の量とマグネシウム塩の量を合わせて炭酸カルシウム (CaCO3) の量に換算した値(mg/L)」(アメリカ硬度)を硬度としています。
その値が120mg/Lより小さければ軟水、大きければ硬水となるとのことです。
本誌でも以前、TDS測定器でタイのKFCや家庭の水道水の測定値を調べた記事をアップしました。
TDS測定器では、簡単に言うとH2O以外の不純物(体に必要な成分もそうでないものも)の多さを計るだけなので、水の硬度を測定する機器ではありません。
ただ教授の言う通り、タイの飲料水の基準値が500 ppm以下というのも、すぐには受け入れにくい話です。
本誌が出した以前の記事でも、家庭用の水道水は「178」でした。
タイでは一般に、水道水は飲料に耐えられないとされています。
ただ、教授のいうように「500 ppm以下なら飲める」という言葉が独り歩きすると、水道水も問題ないとなってしまいます。
問題は、この数値の中にどのような成分が含まれているかなのですが、それはTDS測定器では計れませんし、専門機関に依頼するのも簡単ではありません。
従って、TDS測定器を利用して水の安全性を推し測るには、数値ができるだけ低い状態、日系の浄水器メーカーでは50や30以下を推奨しています。