タクシンに対する不敬罪での告発は、支配階級からのメッセージ?! タイメディアが伝える真実とは。

現在、不敬罪とコンピューター犯罪法で告発されている汚職で仮釈放中のタクシンですが、こういった裏事情があるとタイメディアは伝えています。

2006年の軍事クーデターで政権を打倒されたタクシンは、2015年にソウルで開催された第6回アジア指導者会議に出席した後、朝鮮メディアのインタビューに答えます。
タクシンは、妹のインラック政権を打倒した2014年のクーデターに枢密院が関与していたと主張し、君主制の諮問機関である評議会が軍にクーデターを起こすよう命令したと語ったのです。

これに対し、軍事政権国家平和秩序評議会は、タクシンに対する訴訟を起こすよう要請しました。

その間、タクシンはタイと犯罪人引き渡し条約を結んでいないドバイに逃亡しています。
(日本にも来ています)

2023年8月、15年間の海外逃亡生活を経て、元首相は8月22日に突然タイに復帰します。
この日は、タクシンが事実上のボスを務めるタイ貢献党のセター氏が、首相に就任する日でした。

最高裁判所は、同氏に在任中の汚職と職権乱用の罪で8年の懲役を命じました。
その後、国王の恩赦により刑期は1年に減刑されます。
さらに同日に謎の危篤状態になったとのことで、一日も刑務所に行かずVIP病棟で半年間を過ごし、仮釈放をえることになります。
また出所時には、タクシンは首にコルセットをはめアームスリングを装着、車椅子で自宅に帰るという道化を演じていました。

その間、不敬罪については更なる捜査が必要として、同氏を起訴するかどうかの決定を4月10日まで延期しました。

さらに4月に入ると、容疑に関する決定は5月29日まで再び延期されます。
司法長官オフィスの広報担当のプラユット氏は、捜査は70~80%しか完了していないと説明していました。

そしてその前日の5月28日、タクシンは急遽新型コロナ(現在はただの風邪に分類)に感染したとし、罪状認否の延期が認められました。

司法長官オフィスは、不敬罪をめぐりタクシン氏の起訴を決定しますが、罪状認否公聴会は6月18日まで延期されています。(←今ここ)

この一連の動きについて、プラチャーティポック国王研究所民主主義イノベーション局のスティトーン所長は、タクシンに対する不敬罪は、タクシンの復帰に向けて以前に合意された合意内容の一部である可能性が高いと分析しています。

スティトーン氏は多くの専門家にも支持されており、タクシン氏は強力な保守・王党派勢力と合意に達したため帰国が実現したとみています。
その証拠として、彼らは政府連立を形成するためのタイ貢献党と軍政支援政党との提携を挙げている。

スティトーン氏は、今回の法的告発はタクシン氏とタイ貢献派に対し、自分たちの利権のために勝手に行動しないよう「警告」するためのものだと語っています。

スティトーン氏は「これはタクシンをコントロールし、彼の自由を制限するため」に行われたものだと述べ、「彼ら(支配層)はタイ貢献党が国家権力を独占しないようにバランスを保つ」ことを望むメッセージが込められていると説明します。

タクシン氏は仮釈放後、全国の都市で地元の有力者らと面会するなど、公的活動に積極的に行動していました。
元首相は外交問題にも手を出し、5月初めにはミャンマーの武装民族グループやマレーシアの指導者アンワル・イブラヒムと交渉したと伝えられています。(現地では嫌がられていたようですが)

誰もがそう思っているのですが、それをどうにもできないのがこの国の限界を示していると言えるでしょう。

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