ジェトロ・バンコクの黒田所長、タイ政府の最低賃金引上げに警告。経済に悪影響をもたらす。

日本貿易振興機構(ジェトロ)のバンコク事務所所長は、タイ政府に対し最低賃金を日当400バーツに引き上げの決定をする前に、国内投資家と海外投資家双方への悪影響を慎重に検討するよう警告を発しました。

ジェトロ・バンコク社長の黒田淳一郎氏は、タイ貢献党主導の政府が2027年までに全国で日当最低賃金を600バーツ、そしてピパット労働大臣が新年のギフトとして来年初頭にも賃金の引き上げを行うと発言したことに対して、懸念を表明しています。

黒田氏は先週、ランプーン市のワールド工業団地内にあるムラタ・エレクトロニクス(タイランド)社の工場開設式典でこのコメントを述べています。

大手電子部品メーカー村田製作所のタイ・ランプーン工場を(MLCC)生産の主要拠点の一つに。雇用拡大にも貢献。

黒田氏は「タイが周辺地域で競争力を維持できるよう、政府には国内外の投資家の両方を考慮し、ステークホルダー(利害関係者)への影響を慎重に検討してほしい」と述べています。

タイ貢献党の主力選挙公約の一つとして、2027年までに最低賃金を日額600バーツに引き上げると豪語していました。(当初は800バーツ)

先月の政府の政策声明に関する国会審議の中で、セター首相は、600バーツの最低賃金が施行される前に400バーツを適用するという考えを提起しています。

現在の最低日給は地域によって異なり、328バーツから354バーツまでとなっていましたが、2年間の凍結期間を経て昨年10月に最後の賃上げが行われていました。

黒田総裁は、新政権は単純労働者の最低賃金の引き上げを優先するのではなく、基本的なインフラやイノベーション、将来の産業のための熟練労働者の育成に投資を集中すべきだと提案しています。
単純な賃金の値上げは、物流上の圧力により、海外投資家らが他の東南アジア諸国に投資を分散しタイから離れてしまう可能性があると付け加えています。

そもそもこれは、強引な票取りのためのばら撒き政策ですから、そういった経済政策などは眼中にない中での選挙公約です。
前進党を裏切ってでも強引に勝ち取った政権なので、これ以上有権者にウソをつき通せないという台所事情もあるでしょう。
多くの有識者が、選挙以前よりこの政党の選挙公約に異を唱えていました。
最終的には、一票を投じた国民の問題でもあるのです。

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