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なぜ映画館の座席は赤いのか?~歴史・心理学・視覚科学が導いた最適な色。
- 2025/12/31
- もっと知りタイランド

タイでは娯楽が少ないせいか、映画館が各所にあり主要なデートスポットにもなっています。
日本人の方でもタイの映画館を利用した方も多いのではないでしょうか。
その時こんなことを感じたことはないでしょうか。
なぜ映画館の座席は、ほとんどが「赤色」なのだろうかと。
その答えは、見た目の美しさだけではありません。
実はそこには、科学的な根拠があるのだとタイメディアが説明しています。

1. 起源は「オペラ劇場」
映画が誕生する以前、人々は劇場やオペラハウスで舞台芸術を鑑賞していました。
19世紀のヨーロッパでは、舞台の幕、座席、カーペットなど、劇場の内装に赤色が広く使われていました。
赤色は、高級感・権威・強い感情を象徴する色です。
劇場空間において赤は、温かく格式ある雰囲気を生み出し、観客に「日常とは異なる特別な場所に足を踏み入れた」という感覚を与えます。
映画が誕生し、大衆娯楽として急速に普及すると、多くの映画館はこの劇場デザインを受け継ぎました。
こうして赤い座席は映画館の象徴となり、次第に世界的な「標準」となっていったのです。
2. 人間の目は暗闇では「赤色をほとんど認識しない」
映画館の座席が赤色である最大の理由の一つが、視覚の科学です。
人間の目は、明るい場所では色を識別する「錐体細胞」が働きますが、暗い場所では主に「桿体細胞」が機能します。
この桿体細胞は赤色の光に対する感度が非常に低いため、照明を落とした映画館では赤色が暗く目立たなくなります。
一方、青や緑などの色は比較的認識されやすく、注意を引いてしまいます。
その結果、赤い座席は暗闇の中で“存在感が薄れ”、観客の集中を妨げません。
観客は周囲ではなく、自然とスクリーンに意識を集中できるのです。
このため、映画館では明るい色や寒色系の座席があまり使われません。
3. 観客の感情を高める効果
赤色は心理的な影響も大きい色です。
色彩心理学では、赤はエネルギー、興奮、強い感情と結びつけられています。
これは、感動やスリル、リラックスを求めて映画を観るという体験とよく合致します。
ただし、映画館で使われるのは鮮やかな赤ではなく、落ち着いた赤や濃い赤が中心です。
これらの色は温かみがありながらも刺激が強すぎず、長時間鑑賞しても目が疲れにくいという利点があります。
4. 実用面でも赤色は非常に優秀
美しさや科学的理由だけでなく、実用的な理由もあります。
映画館は毎日多くの人が利用し、ポップコーンや飲み物による汚れが避けられません。
濃い赤色は、明るい色に比べて汚れや摩耗が目立ちにくく、清潔感を長く保つことができます。
その結果、清掃やメンテナンスのコストを抑えられ、映画館としてのプロフェッショナルな印象も維持できるのです。
なるほど!と思うことも多いですね。
その点を踏まえて、この年末年始、是非映画館に足を運んでみると面白いかもしれません。






































