一言では訳せないタイ語の数々。そこにはタイ社会独特の他者への配慮や礼儀習慣が反映されていた!

日本語もそうですが、タイ語も一言で完全に訳すには難しい言葉がいくつかあります。
それは、社会的慣習や感情に深く根ざした意味を持つ単語で、英語にもそれに該当する言葉がない場合があります。

これらの「翻訳できない言葉」は、微妙な感情や礼儀作法のニュアンスを捉え、外部の人々に「タイらしさ」の核心を垣間見せてくれるのかもしれません。

その様な言葉がいくつか紹介されていましたので、お伝えしていきます。

多言語にはなかなかない感情

外国人にとって最も一般的でありながら理解が難しい言葉のひとつに งอน(ンゴーン)があります。
これは、愛する人に対して感じる、少し拗ねた、やや不満げな気持ちを表します。
単なる怒りでも失望でもありません。

例えば、パートナーが夕食中にあなたを無視した場合、あなたは「ンゴーン」する。
つまり、穏やかにいらだちを抱きつつも、直接的に対立はしない、といった反応です。

日本語では「拗ねる」が一番近い言葉でしょうか。

似た言葉に น้อยใจ(ノイジャイ) があります。
これは、身近な人に無視されたときに感じる静かな悲しみや傷つきの感情を表します。
大げさでもなく、騒がしいものでもありません。
見過ごされたと感じる心の静かな痛みです。

例えば、母親が他の兄弟ばかり可愛がるとき、子どもは「ノイジャイ」を感じます。

日本語に訳すと「拗ねる、傷つく」といった感じですが、100%は伝わらないですね。

礼儀が日常生活に根付く

日常のタイ語のやり取りに織り込まれているもうひとつの言葉が ไม่เป็นไร(マイペンライ) です。
文字通り「気にしないで」「大丈夫」という意味で、謝罪を受け流すときや柔らかく断るときなど、至るところで使われます。

道でぶつかったとき、返事が遅れたとき、約束を忘れたときでも、単純な「マイペンライ」で丸く収めることができます。

これはタイ語を代表するような言葉ですが、私の感覚的には「どおってことない」という意味で、被害者・加害者のどちら側からでも使ってくる便利な(都合の良い)言葉ですね。

嫉妬や羨望の微妙な感情

หมั่นไส้(マンサイ) は、苛立ちと羨望が混ざった遊び心のある感情です。
例えば、SNSで誰かが楽しそうに休暇の写真を見せているとき、憎むわけではないけれど「マンサイ」。
苛立ちと羨望が入り混じった状態を一言で表せます。

日本語で一言では表せず、「羨ましさを持ちつつ、イライラする」といった感情を表す言葉です。
タイ人はSNSで自慢するのが大好きなので、相手をหมั่นไส้させてしまいますね。

後悔以上の複雑な感情

最後に เสียดาย(シアダーイ) は、後悔以上の複雑な感情を表します。
手の届く範囲のことを逃してしまったときのほろ苦い悲しみです。
接戦で負けたとき、偶然の出会いを逃したとき、チャンスを失ったとき。
いずれも「シアダーイ」を感じます。

日本語で表すと、「惜しい、悔しい、もったいない」などの複雑な気持ちが入りまじった感じです。

タイ語は文化を映す窓

これらの表現は、タイ人の感情、生活、礼儀、調和、繊細さ、他者への配慮を浮き彫りにします。
タイ人がどのように人との関係性を慎重に扱い、感情とのバランスとっているのかが伺いしることができます。

他にもタイ語、独特だなあという表現があったら教えて下さい。

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