タイの同性婚法成立後に残る法的課題。国籍取得と養子縁組の壁。

タイで同性婚法が成立したことは大きな前進ですが、一方が外国籍の場合、依然として解決すべき法的な問題が残っています。
その中心は「国籍取得」と「養子縁組の手続き」です。

タイメディアがこのように解説しています。

まず、タイ人同士の結婚が海外で登録された場合、タイ国内で再登録はできないが、区役所で家族関係証明書を発行してもらうことは可能。
タイで外国人と結婚する場合や外国人同士が結婚する場合、非タイ人は自国の大使館から「未婚証明書」を取得しなければならない。
同性婚をまだ認めていない国でも、この証明書の発行に応じる場合があり、その姿勢は評価されている。

国籍取得に関して、一般的には出生・血統・帰化・婚姻の4つの方法がある。
タイでは
これらすべてを認めているが、法律上の細かな違いが存在する。
特に1965年の「国籍法」が重要で、第9条では「外国人女性がタイ人男性と結婚した場合」に容易に国籍を取得できると定めている。
一方で「タイ人女性と結婚した外国人男性」は第10条の帰化規定に従う必要があり、タイ語能力・5年以上の居住・高収入などの厳しい条件が課されている。

この男女間の不平等は長年問題視され、女性差別撤廃条約(CEDAW)委員会も差別的だと批判している。
最近の法改正により第11条が追加され、外国人男性配偶者にも居住・言語要件を免除する道が開かれたが、今後は同性婚が合法化されたことを受け、性別による差を撤廃し、どの性の配偶者にも平等に国籍取得を認める必要があると指摘されている。

養子縁組については、国内養子縁組(タイ国内居住者によるもの)と国際養子縁組(外国人がタイの子どもを養子に迎えるもの)の2種類がある。
国内では25歳以上で、養親と子の年齢差が15年以上あること、実親や本人(15歳以上の場合)の同意が必要など、条件が定められている。

ただし、配偶者の一方にすでに子どもがいる場合の扱いには曖昧な点がある。
例えば、養子を持つXがYと結婚した場合は両者で親権を共有できるが、実子を持つXがYと結婚し、Yがその子を養子にした場合、親権はXからYに完全に移る。
今後はこうした不整合も、子どもの最善の利益を中心に見直す必要がある。

同性婚法の施行により、タイ社会は新たな平等の時代に踏み出した。
しかし、真の「法の下の平等」を実現するには、国籍法や養子縁組制度を性別にとらわれない形へと改革していくことが求められている。

そもそもこの同性婚法はタイ貢献党政権時の選挙票取り政策なので、「法の下での平等」などは度外視しています。
タイでは都合のよい法律だけがモザイクのように簡単に出来上がりますが、(例:大麻規制)「放置国家」と呼ぶには全てにおいてあまりにも未整備な部分を残しながら、放置されているというのが現状のようです。

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