タイ国境、違法に金を採掘していたカレン族女性2名に実刑判決。深刻化する環境汚染に取り締まり強化。

9月1日午前10時、カンチャナブリー県トーンパプーム地方裁判所で、金を採取する目的で違法に土を掘削したとして起訴されたカレン族の女性2名に対する一審判決が言い渡されました。

容疑者は、姓を持たないカレン族のダーワン被告で、森林法(1941年)、国有林保護法(1964年)、国立公園法(2019年)違反の罪に問われています。
裁判所は被告に対し懲役6年を言い渡し、執行猶予は付けませんでした。
ただし被告が容疑を認めたことを考慮し、刑を半減して懲役3年としています。

押収された証拠品5点(採掘に使用した道具類と採取した天然資源)はすべて没収とされ、さらに被告には自然資源への損害賠償として9,420バーツおよび利息の支払いが命じられました。

また、8月26日にも同様の事件で、別のカレン族女性ポワー被告(姓なし)が起訴され、同じく一審で懲役6年(自白で3年に減刑)、執行猶予なしの判決を受けています。
押収された証拠品も同様に没収され、損害賠償9,420バーツの支払いが命じられました。

両名は今年3月29日、トーンパプーム国立公園およびカオチャーンプアック国有林の森林保護区域内で、違法に土を掘削して金を採取していたところを摘発されました。
現場では袋に入った土、懐中電灯、ナイフ、ハンモック、肥料袋など複数の採掘道具が押収されています。

判決後、当局は地方自治体に報告の上、住民登録証(IDカード)の取消しや剥奪を検討する方針です。

さらにトーンパプーム郡当局によると、地域内では依然として違法採掘が横行しており、自然環境の破壊、経済・社会の安定への影響が深刻化しています。
このため、自治体は違法金採掘に対する取り締まりを強化しています。
違反した場合は鉱山法(2017年)違反で、1年以下の懲役または鉱石の価値の3〜5倍の罰金、あるいはその両方が科される可能性があります。

金の採掘には、有毒な水銀やシアン化合物を大量に使用するため、水質や大気を深刻なレベルまで汚染していきます。
国際的にも「水銀に関する水俣条約」として規制されています。

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