タイ工業業界に疲弊の兆し。6月は工場の閉鎖数が新設数と同率、経済の脆弱性浮き彫りに

タイの工業部門は、深刻化する課題に直面しているといいます。
2025年6月、工場の閉鎖数が新設数と同数になったことが公式データで明らかとなり、これは経済にとって稀かつ懸念すべきシグナルだと警鐘をならしています。

工業局(DIW)が発表した2025年1月〜7月のデータによると、工場は新設が続いているものの、閉鎖数も高止まりしており、産業部門の脆弱性が浮き彫りになっています。
さらに、米国の新たな輸入関税の脅威が迫っており、近い将来タイの輸出に直接的な影響を与える見通しです。
企業は高まる不確実性に迅速に適応することを迫られています。

2025年1月〜7月の工場新設・拡張・閉鎖数

・1月:新設147件、拡張14件、閉鎖42件
・2月:新設144件、拡張22件、閉鎖47件
・3月:新設94件、拡張22件、閉鎖51件
・4月:新設117件、拡張12件、閉鎖82件
・5月:新設99件、拡張14件、閉鎖63件
・6月:新設73件、拡張20件、閉鎖73件
・7月:新設95件、拡張25件、閉鎖67件

新工場による雇用創出は急減し、6月の新規雇用は1,413件にとどまりました。
一方で閉鎖により2,307件の雇用が失われています。
7か月間を通じて、労働需要の変動は工場稼働状況の不安定さを反映しています。

投資動向

投資額も低迷し、6月の新工場投資額は26億バーツと年間で最低水準の一つでした。
これに対し、閉鎖による投資損失は31億バーツに達しました。
7月は拡張投資が117.9億バーツと回復しましたが、新工場投資は93.8億バーツにとどまっています。

閉鎖による損失額が大きかった業種(2025年1〜7月)

①機械・機械装置(冷蔵庫および付属品製造) – 17.3億バーツ
②化学・化学製品(合成洗剤、殺虫剤、化学肥料、有機肥料、バイオ肥料) – 13.7億バーツ
③金属製品(建設用金属製品、鋼板の切断・圧延) – 13.7億バーツ
④自動車・自動二輪部品製造、車両修理 – 12.7億バーツ
⑤木材加工・木製品(パーティクルボード製造、ラバーウッド加工) – 9.2233億バーツ

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