バンコク、バンタットトンの飲食店バブルを読み解く。原因はインチキ・インフルエンサー?!

以前、本誌でバンタットトン通りが急速に衰退しているというニュースをお伝えしたところ、かなりな反響がありました。
その理由として、実際に行ってみたら思ったほどおいしくない、不衛生であるなどがあげられていましたが、こんな理由もあるようです。

バンコクのバンタットトン通りは、今や大きな注目を集めるエリアとなりました。
かつて「経済通り」として急成長し、“打ち上げ花火”のように話題となったこの通り。
しかし、その勢いは長く続かず「バブル崩壊」のような形で急速に落ち込みを見せています。

観光客の消失が引き金に

有識者の分析によりますと、特に中国人観光客の姿が目に見えて減少したことが、衰退の直接的なきっかけとされています。
中国人はこの通りの主要な顧客であり、人気インフルエンサーの投稿を追いかけて「チェックイン」する人々でした。
その彼らが突然いなくなったことで、以前は大盛況だったストリートフードの街は一気に閑散とした雰囲気へと変わってしまいました。

多くの飲食店が次々とオープンし、一時は百店舗以上が軒を連ねていましたが、現状への備えがなされていなかったため、店舗の多くが撤退を余儀なくされています。

背景には「高騰する家賃」と「脆弱な基盤」

飲食業界の関係者は、バンタットトンのバブル崩壊の原因として以下を挙げています。

①継続的な経済の低迷
②中国人観光客の急減
③家賃の高騰

もともとこの地域の地権を管理するチュラロンコーン大学資産管理局(PMCU)が貸し出していた賃料は、1万バーツ台でしたが、最終的には月額数十万バーツに跳ね上がり、平均3〜4倍にまで高騰していました。
その結果、飲食店側はコスト負担に耐えられず、値上げもできず、撤退や権利譲渡に追い込まれました。

さらに、タイ人消費者の購買力が限られているため、外食頻度も減少し、売上は50%以上の減少したとも言われています。

 

バンタットトーンは「自然に育った街」ではなかった!

別の関係者はこう語ります。

「バンタットトンは、本来自然発生的に育った街ではなく、SNSやインフルエンサーの影響で人工的に“仕掛けられた街です。そのため、流行が去るのも早い。現在も新規出店は続いていますが、実際はショッピングモールの高額な家賃を避けた代替地として来ているケースが多い。最終的に残るのは地元に根差した“本物”の店だけで、ブームに乗って来た店はすぐ消えるでしょう」

実際の採算ライン:1日100人~200人が必要

さらに具体的な分析も示されています。

・現在バンタットトーンには、378店舗の飲食店が存在
・各店舗が生き残るには、毎日少なくとも100〜200人の客数が必要
・仮に1人500バーツ使うとして、1日5〜10万バーツの売上が必要
・1時間あたり1万バーツ以上の売上が必要という厳しい現実

「バンタットトンは、単なる飲食街からの脱却が求められている。今後は、食だけに頼らない新しい形の再構築が必要だ」とも語られています。

本誌では、新型コロナで観光業が衰退した際、観光業に頼らない新たな産業を生み出すべきという、サハの会長も唱えていた説を一貫して主張していました。
しかし、現在のタイ貢献党政権は、「ソフトパワー」などと聞こえのよいフレーズで庶民を惑わし、ようするに他力本願の政府ノーアイデアによる政策を推し進めてきました。
その結果が顕著に表れているのだと、本誌は考えます。

またインチキインフルエンサーにただただ「うまい、おいしい」と言わせただけでは、一瞬の賑わいを見せても結局は続かないということが、バンタットトーンのケースでも明らかになったかと思います。
インチキで人をだまし続けても、次はないということです。

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