KKPリサーチ「中国人観光客のタイ離れは一時的ではない」。根本的な原因は、タイ政府への不信感。

KKPリサーチの分析によると、2024年末時点で中国人観光客のタイ訪問は、コロナ前の60~70%まで回復していました。

しかし、2025年1月の春節(旧正月)以降、訪問者数は約半分に急減し、月30万人未満(コロナ前のわずか30%)にまで落ち込んでいます。

この背景には、中国経済の減速と、政府による国内旅行の積極的な推進があると言われています。

現在、中国人全体の海外旅行は2019年比で86.5%に回復している一方、国内旅行はすでに93.6%まで戻っています。

中国人観光客の旅行スタイルに変化、安全性と構造的問題が障害に

現在、タイを訪れる中国人観光客は、団体ツアーから個人旅行(FIT)へ移行しています。

コロナ前は約40%が団体旅行、60%が個人旅行でしたが、2024年には個人旅行が77.4%(530万人)まで回復したのに対し、団体旅行は33.4%(140万人)にとどまっています。

個人旅行者(FIT)は購買力が高く、観光支出額も大きいため、価格だけでなく、観光地の魅力、サービス品質、安全性が旅行先選びのカギとなっています。

中国人は、なぜタイではなく他国を選ぶのか?

2025年3月以降、中国の国際線は徐々に回復していますが、タイへの便は減少傾向が続き、これは中国人の海外旅行全体の減少ではなく、タイの魅力低下を示しています。

KKPリサーチは、タイを避ける要因として以下の2点を指摘しています。

①個人旅行者による再訪には時間がかかる(計画に時間を要するため)。

 これは一時的な要因で、年後半には改善の可能性があります。

②安全性への不安感が増加

 これは構造的な問題であり、タイのイメージ回復には時間が必要です。特に個人旅行者は、安全への感度が高いため重要となります。

安全問題とイメージの悪化:著名人の誘拐、摘発、地震などが影響

国際調査会社Dragon Trail Internationalの2025年4月調査によりますと、「タイは安全でない」と回答した中国人は過半数に達し、前年9月の38%から大幅に増加しました。

それに比べて他国に対する安全イメージは、大きく変わっていません。

KKPリサーチは以下の事件が、タイの観光イメージを大きく損ねたと指摘しています。

・中国人著名人の誘拐事件
・「グレービジネス」に対する取り締まり
・地震発生による不安

中国人観光客の急回復は短期的に難しい、代替市場として欧州・南アジアに注目

KKPリサーチは、安全問題など構造的課題が解決されない限り、中国人観光客の本格的な回復は見込めないとしています。

また、他国の観光客ですぐに中国人の減少分を補うのも難しいと警告しています。

しかし、長期的には代替市場として「欧州および南アジア(主にインド)」が成長の鍵になると予測しています。

「タイは危険だ」と中国で風評が流れていた初期のころに、タイ政府がきちんと対処していればここまでひどい結果にならなかったはずです。
この数字は、その当時「デマに惑わされないように」とか、「ニセ情報に注意」とか、何の根拠もなく何の対策もせず、否定だけ続けていたタイ政府に「裏切られた」という気持ちも込められている結果だと思われます。
「タイ政府こそが信用できない」「もううんざり」となった時点で、もはや何をしても時計の針は戻りません(合掌)

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