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タイ、サイアム商業銀行の誕生秘話。帝国主義時代におけるタイの金融主権確立への第一歩。
- 2025/5/19
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タイの銀行の歴史です。
20世紀初頭、タイ(当時のサイアム)では多くの銀行業務が外国の金融機関によって支配されていました。
イギリス、フランス、中国系の銀行が貿易、税関、融資などを掌握し、地元経済の自律性はほとんどありませんでした。
タイ人による金融機関が存在しないことは、近代化を進める上で重大な欠落と考えられていました。
■ タイ初の自国資本銀行を目指して
ラーマ5世(チュラロンコーン大王)の弟であるマヒサラ・ラーチャハルダヤ王子は、外国金融への依存を減らすべく、タイ人による銀行の設立を提案しました。
この構想は1904年、「ブッククラブ」という名のもとに慎重にスタートさせます。
当初は目立たぬ形で運営され、市民の関心と支持を探る実験的な取り組みでした。
この動きは経済的な目的だけでなく、通貨・金融に対する国家主権の象徴でもありました。
■ サイアム商業銀行の誕生
1906年、王室の正式な承認を受け、「ブッククラブ」はタイ初の銀行として「サイアム商業銀行(SCB)」の免許を取得しました。
SCBは預金、貸付、為替取引などの基本的な銀行サービスを提供し、外国に依存せずに国内ビジネスを支える地元の金融基盤として画期的な役割を果たしました。
■ 新たな基準を打ち立てた存在
1910年、バンコクのタラートノイ地区に初の常設店が開設され、貿易と金融の中心地として発展しました。
この銀行の設立は、非公式な信用システムに頼っていた当時の市民に対し、近代的な銀行の仕組みを導入する重要な契機となりました。
また、この成功をきっかけに、その後の数十年で他の地元銀行の誕生が続くことになり、タイの金融システムの基盤が築かれていきました。