タイ、新たな「航空便遅延・欠航時の乗客保護規則」施行(5月20日より)

本誌ではすでにお伝えしていますが、2025年5月20日(火)より、タイで新たな航空乗客保護規則が施行されました。

この新規則は、タイ民間航空局(CAAT)による「民間航空委員会告示第101号」に基づくもので、国内線および国際線の定期便における乗客の権利保護の強化を目的としています。
問題は、実際にこの規制の内容通り、運用されていくかどうかです。

★新規則の概要(国際線)

出発前通知なしに発生した遅延・欠航時(特に乗客がすでに空港に到着している場合)、航空会社には以下のサポート義務が課されます。

◆ 遅延2時間超の場合

・遅延の時間帯と長さに応じた無料の飲食物やクーポンを提供。
・電話やEメール利用などの通信手段の無料提供。

◆ 遅延5時間超の場合

上記に加え、以下の対応が必要です:

・現金1,500バーツ(または同等額のクレジット、バウチャー、マイレージ等)の補償を14日以内に支給。
・宿泊が必要な場合、宿泊施設と空港間の送迎を提供。
・キャンセル・全額返金の選択肢または代替補償(バウチャー等)を提示。

◆ 遅延10時間超の場合:

2時間・5時間超の対応に加えて、補償金額がフライト距離に応じて増額されます:

飛行距離 補償金額
1,500km以下 2,000バーツ
1,500~3,500km 3,500バーツ
3,500km超 4,500バーツ

欠航・搭乗拒否時の対応

以下の場合を除き、10時間以上の遅延と同等の補償が乗客に提供されます:

・少なくとも7日前に欠航通知を行った場合
・7日以内の通知でも3時間以内に代替便を提供した場合
・不可抗力など予見不可能かつ回避不可能な事由により欠航した場合

国内線の補償金増額

国内線についても補償内容が強化されました。

状況 旧補償額 新補償額
遅延5時間超 600バーツ 1,200バーツ
欠航 1,200バーツ 1,500バーツ

※ 航空会社は同等以上の価値を持つクレジット・バウチャー・マイレージポイントによる代替補償も可能。

※ 不可抗力時は適用外です。

機内(ターマック)での遅延対応

搭乗後、離陸前に機内で待たされる「ターマック・ディレイ」への対策:

・空調、換気、トイレ利用、緊急医療などを適切に提供。
・3時間以上離陸予定が確定しない場合は乗客に降機機会を提供(ただし、安全性や航空管制上の問題がない場合に限る)。

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