タイ鉄鋼業界の危機。中国の安価な鉄鋼輸出が工場閉鎖を招く。2025年71の工場が閉鎖に。

タイの鉄鋼業界は、中国からの安価な鉄鋼の流入により大きな打撃を受けており、今年に入ってすでに71の工場が閉鎖に追い込まれたと、タイメディアが報じています。

中国系工場が生産拡大、タイ国内業界に混乱

業界関係者によると、タイ国内にある中国系の工場が鉄鋼生産を拡大しており、国内市場の混乱を招いています。
2024年には、中国の鉄鋼メーカーが1億1,000万トンを輸出し、その多くがタイや近隣のASEAN諸国に流入しました。
この影響で、タイの主要鉄鋼メーカーは連続赤字に陥り、大量の失業者を出しています。
具体的には、バンコク製鉄(Bangkok Iron and Steel Works)などの企業が深刻な影響を受けています。

中国の鉄鋼メーカーは、タイ国内で誘導炉を使用して工場を設立することを許可されているが、この技術は環境負荷が大きいため、中国本国では2017年に禁止されています。
一方で、今年閉鎖されたタイの鉄鋼工場は、鉄筋やワイヤーロッドの製造に電気アーク炉を使用しており、生産コストが高くなっていました。

ある業界関係者によれば、中国のプレハブ鉄鋼構造物の輸出量が、2023年の40万トンから昨年は60万トンに急増し、タイの鉄鋼工場の価格競争力を大きく損なったといいます。

このような状況を受け、タイの鉄鋼業界は政府に対し、競争力維持のための緊急対応を求めています。

環境対策と競争力強化がカギに

タイ工業連盟(FTI)鉄鋼産業クラブのバントゥーン会長は、中国からの鉄鋼輸入の影響を軽減するため、以下の7つの対策を提案しています。

①過剰生産能力を持つ特定の鉄鋼工場の新設・拡張の禁止
②グリーン産業認証(レベル4以上)を取得した国内工場の鉄鋼製品を政府調達で優先的に採用する施策
③プレハブ鉄鋼構造物の工業製品規格の早期整備
④国内鉄鋼生産向けに鉄スクラップの原材料確保を促進する措置
⑤自動車廃棄物からのリサイクル材料利用を促進する政策の導入
⑥官民連携プロジェクトや投資優遇対象の建設事業で国内製品の使用を推奨する施策
⑦市場変化に適応するための貿易措置の強化

タイの鉄鋼業界は、政府の早急な支援がなければ、さらなる工場閉鎖や雇用喪失が避けられない状況にあると主張しています。

旅行ガイドや床屋など、タイ人しか就労できない職業を守ることに必至になる割には、このような巨大産業について、タイ政府が無関心なのには驚かされます。
中国企業などはたたけば埃だらけでしょうから、徹底的に当局が査察を行えばよいものを野放ししているから、いいようにやられているのだと思います。
腐れ役人でもいるのでしょうか。

 

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