タイ漁船拿捕事件。ミャンマー裁判所がタイ人漁師4人に有罪判決。タイ政府のお粗末な交渉に落胆。

11月30日にタイ漁船が拿捕され、タイ人4名を含む31名がミャンマー軍に拉致された事件に関し、タイ政府は翌日以降、連日のように「今日解放させます、今日解放させます」とオウム返しをしていましたが、「最近は年明けまでには…」とトーンダウンしていました。
そうこうしているうちに、拉致されたタイ人4名は裁判にかけられ、有罪判決を受けることになります。

ミャンマーのカウォータウン地方裁判所は、61歳から69歳のタイ漁船乗組員4名に対し、不法入国の罪で判決を下しました。

判決の詳細

船長:ミャンマー領海で許可なく違法漁業を行った罪で5年、不法入国の罪で1年、計6年の懲役と20万チャット(約3,400バーツ、約95ドル)の罰金。

タイ人乗組員3名:違法漁業でそれぞれ3年、不法入国で1年、計4年の懲役と3万チャット(約510バーツ、約14ドル)の罰金。

裁判所の温情措置

船長がミャンマー領海でサバ漁を行っていたことを認めたことを受け、カウォータウン地方裁判所は4人全員の刑を執行猶予とし、国際関係を維持するため、2025年の新年期間中にタイへ帰国させるとしています。

ミャンマー人乗組員への判決

同じ船に乗っていたミャンマー人乗組員27人は、不法入国の罪でそれぞれ1年の懲役を言い渡されました。

発砲事件の詳細

11月30日夜、ミャンマー軍艦がタイのトロール漁船に発砲した事件では、タイ人漁師1人が死亡、数名が負傷しました。
この際、タイの漁船「ソー・チャロンチャイ8」と乗組員31名(タイ人4人、ミャンマー人27人)が拿捕され、ミャンマー領内のヤンチューアック島に拉致されました。

タイ政府の対応
タイ政府は事件発生後、乗組員と船の無条件解放を求めてタイ・ミャンマー国境委員会(TBC)を通じて交渉を続けていました。
しかし、ミャンマー側は「解放手続きはネピドーの指示に依存する」と伝え、交渉の進展は難航しています。

海域の領有権問題

事件が発生したパヤム島西方12海里(北緯9度45分、東経98度17分)の海域は、タイとミャンマーの間で領有権が未解決の重複海域です。

北スリン島からコム島にかけての50海里は、境界線が曖昧な状況にあります。

1867年から1868年に行われたシャムと英国植民地当局間の交渉以来、3つの島(ラム島、カン島、キノック島)に関する領有権が未解決のままとなっています。

関連記事

最新記事

月間人気記事TOP10

ページ上部へ戻る