タイ憲法裁判所、タクシンおよびタイ貢献党に対する訴訟を全て棄却。司法の公平性に疑問。

タクシン・チナワットおよびタイ貢献党が、立憲君主制を転覆させる意図を持った行動を取ったとの訴訟に対して、憲法裁判所は、受理しない決定を下しました。

訴訟を起こした者は、以下を理由に挙げていました。

●タクシンが、警察総合病院の14階に滞在したこと
●憲法改正のために国民党と協力したこと
●自宅で党首と政権運営について協議したこと

また、憲法裁判所はカンボジアとの「MOU44」として知られる2001年の覚書に関する請願も7対2で棄却しました。

憲法裁判所は11月22日に審議結果を公表し、独立系弁護士ティーラユット氏が提出した訴訟を却下しました。
この訴訟では、タクシンとタイ貢献党が王を国家元首とする民主主義体制を転覆させる権利や自由を行使したかどうかを判断するよう裁判所に求めていました。

請願内容の主な6つの主張

①タクシンへの特別待遇の指示
タクシンは、刑務所に収容されるべき期間中、重大な病状の証拠がないにもかかわらず、警察総合病院に滞在を許可されたとされる。

②カンボジアとの交渉
カンボジアの元首相と海上の重複区域に関する交渉を指示し、天然ガスや海底資源の利益を共有することで、タイの海洋主権を損なう可能性があるとされる。

③憲法改正への関与
タクシンがタイ貢献党に対し、国民党(前進党の後継党)と協力して憲法改正を進めるよう指示したとされる。

④首相候補指名の私的協議
タクシンがプライベートな場で、セター前政権の連立政党の党首らと協議し、新首相の指名を進めた。

⑤パランプラチャラート党の連立離脱
タイ貢献党に対し、連立政権からパランプラチャラート党を追放するための投票を指示したとされる。

⑥個人的政策の指示
自身が過去に発表した個人的な政策を、内閣の公式政策として議会に提出するようタイ貢献党に指示したとされる。

裁判所の判断

1および3~6の問題について
裁判所は、これらの行為が王を国家元首とする民主主義体制を転覆させる結果につながる権利や自由の行使に該当するとの証拠が不十分であると結論付け、全会一致で却下しました。

2の問題(MOU44)について
裁判所は7対2の多数決で、この行為が民主主義体制を転覆させる結果につながるとの十分な証拠がないとして、この問題を審理しない決定を下しました。

結論

憲法裁判所は、請願内容が憲法第49条第1項の基準を満たさないと判断し、全ての訴えを却下しました。

この結果を受けて、前進党がいとも簡単に解散させられた例と比べて、司法の公平さが欠けているとの意見が多く寄せられています。

 

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