タイは非人道兵器「クラスター爆弾」を使用したのか? カンボジア政府が「戦争犯罪」と非難。

タイ=カンボジア国境紛争では、実際の戦闘以外に「舌戦」も繰り広げられており、どこまでが真実なのか判別し難い状態となっています。

7月24日、カンボジア国防省の報道官は、タイがクラスター爆弾を使用したと非難する声明を発表しました。
対象となった地域は、ポーサット州のプノン・クマオチ山(Phnom Khmaoch)および複数の国境沿いの村で、攻撃は国際条約違反にあたると主張しています。

クラスター爆弾とは?

クラスター爆弾は、上空から投下または地上から発射される兵器で、1つの主弾頭の中に多数の小型爆弾を内蔵しています。爆発時にこれらが広範囲に飛散し、大面積にわたり損傷を与えるため、軍用だけでなく民間人にも大きな被害を及ぼすことが問題とされています。

過去には第二次世界大戦やベトナム戦争、シリア内戦などでも使用され、不発弾の残存率が高く、戦後何十年にもわたり民間人を危険にさらすことが国際的に問題視されています。国際赤十字の調査では、最新の紛争で使用されたクラスター爆弾の約40%が不発弾として残存していると報告されています。

国際条約と禁止の現状

2008年に採択された「クラスター爆弾禁止条約(CCM)」では、使用・製造・保有・移転を全面禁止とし、既存の兵器の廃棄と除去を求めています。120か国以上がこれに署名しており、イギリス・フランス・ドイツなどが参加。一方でロシア、アメリカ、イスラエルなど、一部の国は未参加または引き続き使用していると報告されています。

特に子爆弾はおもちゃのような見た目をしていることが多く、子どもが拾って被害に遭うケースが多発しており、犠牲者の1/3が子どもというデータもあります。

カンボジアの主張とタイの過去事例

カンボジアは今回の事案を「重大な人道法違反」および「戦争犯罪」とまで非難しており、2011年にもタイがクラスター爆弾を使用したと非難した過去があると指摘しています。
今回が初めての主張ではなく、緊張が高まる背景として注目されています。

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