バンコクの賃貸オフィス、空室率が27%までに。値引き合戦も激化。供給過剰と働き方の変化が原因?!
- 2025/2/28
- 不動産情報
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バンコクの商業不動産セクターは、大幅な供給過剰に苦しんでおり、2024年最終四半期のオフィス空室率は27%に達しています。
この空室率の急上昇により、賃料の大幅な引き下げが前例のないレベルで行われ、貸主間の競争が激化しているとタイメディアは伝えています。
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド・タイランドのオフィス賃貸部門責任者であるアウキット氏は、「空室率は2025年を通じてさらに上昇する」と警告しています。
この予測の背景には、今後2~3年以内にバンコクの中心業務地区(CBD)を中心に、追加で72万5000平方メートルの新たなオフィススペースが市場に投入される見込みとなっているからです。
オフィス稼働率の低下と賃料の下落
2025年のオフィス稼働率は72.2%にまで低下すると予測されており、2019年のパンデミック前の77%から大幅に減少。
さらに、2012年の市場ピーク時(95%)と比べると、著しい下落となるだろうと言われています。
また、2020年から2022年にかけて1平方メートルあたり月額1,100バーツで安定していた平均オフィス賃料は、今年950バーツまで下落すると見られています。
柔軟な働き方の普及が市場に影響
市場変化の主な要因として、新型コロナウイルスのパンデミック後に急速に普及した柔軟な働き方が挙げられます。
多くの企業が、ハイブリッドワークやリモートワークを採用し、従来型のオフィス需要が大幅に縮小しています。
この傾向により、多国籍企業の多くがオフィススペースを縮小。
例えば、マイクロソフトは2,000平方メートルから1,500平方メートルへ縮小し、IBMは7,500平方メートルから3,500平方メートルへ、エリクソンは3,700平方メートルから2,000平方メートルへと、それぞれ賃借面積を削減したというデータがあります。
供給過剰と激しい競争により、新築オフィスビルの開発業者は最大30%の値引きを提供するところまで出ています。
これは、コロナ禍前の10~15%という標準的な割引率を大きく上回っています。
また、古い物件では直接の賃料引き下げではなく、長期リース契約に対して6~7カ月のフリーレント(無償期間)を提供するケースが増えていると言われています。
市場の厳しい状況を受け、大規模開発プロジェクトの無期限延期も相次いでいます。
「The Parq Phase 2」や「One Bangkok」など、合計15万平方メートルの供給を予定していたプロジェクトが延期されたほか、「Bangkok Mall」や「Cloud11」といった大規模プロジェクトも外部要因により建設が遅延しています。
市場回復の見通し
バンコクのオフィスマーケットの回復には時間がかかると見られており、市場の均衡が回復するのは2030年頃になるだろうとも言われています。
走り続けなければ破綻してしまうデベロッパーの悲しき性なのか?
いずれにせよ、いつか破綻を招くことは必然かと思われます。