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タイ民主主義の精神を祀るために建立された寺院「ワット プラシーマハタート」。
- 2025/9/22
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バンコク郊外にある「ワット プラシーマハタート ウォラマハーウィハーン」(วัดพระศรีมหาธาตุวรมหาวิหาร)は、ただの寺院ではありません。
タイ国内の多くの仏教寺院が、精神的あるいは建築的価値で崇拝されているのに対し、バーンケーン地区にあるこの寺院は、民主主義の記念碑として建立されました。
1941年、プレーク・ピブーンソンクラーム元帥政権下で建立が命じられ、1932年に絶対王政を終焉させた人民党(カナー・ラッサドン)の理想と深く結びついています。
やがて、この寺院は立憲制への移行を物理的に示す記念として建てられ「民主主義の寺」と呼ばれるようになっています。
「シーマハタート」とはインドからもたらされ、ここに安置された仏舎利を意味します。
一部の歴史家は、人民党が「民主主義はタイ文化に異質なものではなく、仏教と調和して共存できる」ことを示そうとしたのだと述べています。
シャム革命の記憶
ワット・プラシーマハタートはまた、1933年に発生したボーウォーラデート親王の反乱(立憲政府に対する王党派の武装蜂起)で命を落とした人々を追悼する場としても設計されました。
建築様式は当時のモダニズム精神を反映し、伝統的なタイ様式と近代的デザインが融合しています。
本堂の仏塔(チェディ)は、聖なる舎利容器であると同時に、政治的進歩の象徴でもあります。
有識者によれば、その直線的で幾何学的に単純な形は、王室寺院に見られる華美な壮麗さからの決別を示し、人民党の「近代国家」構想と一致しているのだと言います。
現代における意義
その後、数十年の間に、この寺院の政治的象徴性は、タイの激動する政権交代の中で人々の記憶から薄れていきます。
しかし歴史家や活動家にとって、ワット・プラシーマハタートはいまなお宗教と民主主義が交差する象徴的な地であり、政治革命を記念する目的で意図的に建立された国内唯一の仏教寺院として位置づけられています。
今日、タイの民主主義の行方をめぐる議論が続く中、この寺院は静かに精神的な聖域であると同時に、未完の政治的歩みを思い起こさせる存在であり続けています。
タイは未来へと一歩踏み出すことができるのでしょうか。
あるいは、過去に囚われた亡者たちによって、冥界へと引きずり込まれてしまうのでしょうか。
この数カ月が勝負どころです。