タイ不動産「タウンハウス」終了のお知らせ。店舗&住居使用可も、様々な不都合で急速に衰退。
- 2025/10/19
- 不動産情報

先日もお伝えした通り、タイの不動産市場では「買うより借りる」の時代が加速するなか、かつて商業と住居の両用途で人気を誇った「ตึกแถว」(トゥックテーオ/タウンハウス)が、急速に衰退していると言います。
いまや「時代遅れの不動産」と化し、消滅へのカウントダウンが始まっているようです。
不動産販売・マーケティング協会によると、現在タウンハウスは「経済ディスラプション(構造的変化)」により、実用価値を失いほとんど売れない状態だといいます。
商業利用が難しくなった今、買う理由からです。
観光地エリア(例:ヤワラート=中華街)を除けば、地方のタウンハウスはほぼ機能していないという。
「市場からはすでに約50%のタウンハウスが姿を消しており、中古物件も売却が難しい。
資産管理会社や銀行が所有する差し押さえ物件でも、通常価格から50%値下げしないと売れない。
それでも地方では需要がほとんどない。住宅に改装するのも難しく、駐車スペースもないため、人々は郊外の戸建て住宅を選ぶようになっている」と同協会は述べています。
さらに、タウンハウスはコロナ以前からすでにディスラプト(時代遅れ)され始めていたと指摘します。
従来は中小企業(SME)の事務所や店舗として使われていましたが、いまや商売はオンライン化し、実店舗の必要性が減ったため、需要が激減したといいます。
「飲食店も閉店が相次ぎ、オフィス利用も減った。多くの所有者は都心に資産を持つ富裕層だが、今は郊外の住宅やコンドミニアムにシフトしている。そのため、バンコクでも地方でも“使われないタウンハウス”の売却広告が急増している。だが誰も買わない。なぜ買うのか、その理由がないからだ」と語っています。
一方、観光地では一部で再利用の動きも見られる。ヤワラートのようなエリアでは、古いタウンハウスが1泊1,000バーツ前後の小型ホテルに改装され、外国人観光客向けに活用されています。
またBTSなど鉄道沿線の土地では、デベロッパーが買い取り、コンドミニアム開発を進めるケースもあると言います。
ただし、それ以外のエリアでは価格が伸び悩んでいます。
ヤワラート地区では1棟4,000万~5,000万バーツの水準が長年続き、ラチャダー-ラップラオ交差点付近でも900万~1,000万バーツ台で停滞。
ラップラオ通り沿いも売り物件が急増しているとのこと。
オーナーは鉄道開通で値上がりを期待して価格を上げたが、実際には買い手がつかない状態だという。
「タウンハウスは日本の“空き家問題”と同じ道をたどっている。
資産管理会社もすでに購入対象から外しており、今後も放置された古い建物が増えていくだろう。
近い将来、タイも空き物件の増加という大きな課題に直面する」と警鐘を鳴らしています。
なんでまたこういった造りの物件が流行したか、タイの七不思議のひとつでもありました。
一つの建物として繋がっているタウンハウスは、借りる場合でも2階以降はあまり使われないケースが多く、ただただ無駄になってしまうのです。
購入しても、縦にのみ所有権があるだけなので、建物自体を勝手に立て直したりすることができません。
老朽化が進み、直したい部分があっても手が付けられないなど、どんどん資産価値が目減りしていくだけだと思うのですが、タイでは「タウンハウス」をあちこちで見かけます。