タイ世論調査。仏教界に迫る信頼の危機。飲酒、女、賭博、76%が僧侶の不適切行動を問題視。

世論調査機関「NIDA Poll」は、2025年7月14〜16日にかけて、全国の18歳以上の仏教徒1,310名を対象に「仏教の危機」に関する世論調査を実施し、その結果を発表しました。

本調査は、信頼水準97.0%、許容誤差±5%で、多段階無作為抽出法と電話インタビュー方式によって行われました。

■ 仏教界の問題に関する認識(複数回答)

調査によれば、現在の仏教界で問題を引き起こしている主な原因として、以下のような意見が挙げられました。

76.11%:僧侶の一部が世俗と断ち切れず、麻薬・飲酒・賭博・女性関係などの不祥事が頻発
45.95%:僧侶の一部が名誉・権力・地位に執着
45.80%:僧侶の一部が物質主義・消費主義に傾倒
40.00%:僧侶の一部が「僧侶=職業」と考え収入源と見なしている
29.16%:一部の寺が「商業仏教化」
27.63%:寺の財産管理が不透明
25.42%:仏教監督機関のチェック機能が弱い
23.74%:僧侶の一部が戒律を守らず、攻撃的な言動
16.72%:信者が僧侶を間違った行為に導くことも
13.59%:僧侶の一部が自己陶酔し、霊験を誇張(虚偽広告)
11.60%:寺が過剰な寄付を促す
8.32%:僧侶の一部が仏教の教えを曲解
7.79%:僧侶の一部が教えより呪術を重視
1.68%:僧侶の一部が政治に関与
0.46%:仏教に問題はないと回答

■ 僧侶・仏教への信仰の変化

僧侶への信仰:58.40% が「(信仰が)減少した」、41.60% は「変わらず」
仏教そのものへの信仰:68.55% の者は「変わらず」、31.45% は「(信仰が)減少した」

■ 仏教保護法案への賛否(違反に対する罰則あり)

①戒律違反や重罪の僧侶の処罰:
賛成(非常に+やや):94.35%
反対(あまり+全く):5.65%

②僧侶との合意の上での性的関係に対する罰則:
賛成:32.03%
反対:6.57%
無回答:0.23%

③霊験誇張や超常現象の虚偽宣伝を行う僧侶:
賛成:80.56%
反対:13.44%

④仏教の本質を歪めるような行為(侮辱・風刺など):
賛成:54.92%
反対:15.65%

⑤証拠なく僧侶を中傷する者の処罰:
賛成:64.84%
反対:16.72%

■ 回答者の基本属性(抜粋)

地域分布:東北(イーサーン)33.28%、バンコク8.55%、南部13.82%など

年齢層:46〜59歳 26.34%、60歳以上 25.80%、18〜25歳 12.13%

学歴:中学卒34.73%、大卒32.29%、大学院以上6.41%

職業:自営業/フリーランス20.46%、専業主婦・退職者等19.77%、会社員18.01%

月収:無収入18.17%、10,001〜20,000バーツが最多(31.37%)

仏教に関する社会意識の変化、僧侶の不祥事への対応、そして仏教保護に関する法整備の必要性が、今後の課題として浮き彫りとなりました。

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