「世界のゴミ捨て場タイランド」脱却を目指せ! 電子廃棄物輸入を全面禁止に。

タイ王国は、電子廃棄物(e-waste)の輸入を全面的に禁止する法令を施行しました。

6月24日、商務省が官報に掲載した新たな告示により、電子廃棄物のタイ国内への持ち込みが違法とされ、即日施行されました。

これは2020年の旧法を置き換えるものであり、禁止対象物は従来の428品目から463品目へと大幅(?)に拡大されました。

■ 主な禁止対象

・故障した回路基板
・使用済みリチウム電池
・壊れた携帯電話
・有害残留物を含む小型電化製品
・PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含むコンデンサ
・カドミウム、水銀、鉛などの有害化学物質を含む電子部品
・ブラウン管(CRT)のガラス等

また、関税コードはHS2022に準拠して改訂され、虚偽申告や密輸の防止も強化されます。

■「電子廃棄物」の定義

本法では、「電子廃棄物」とは発電設備を除いた、使用不能となった電気・電子機器の部品や残骸を指します。

この中には、電解コンデンサ、バッテリー、水銀スイッチ、CRTガラスなどの危険部品が含まれます。

特に、有害物質法(2013年工業省告示)に基づいて指定された高リスク物質が焦点となります。

■ タイ国内のe-waste事情

タイでは、年間40万トン以上の電子廃棄物が発生していますが、適正に処理されるのはわずか500トン(約0.125%)にすぎません。

多くは家庭内に放置されたり、中古品として売られたり、非公式なリサイクル業者に流れたりしています。(または不法投棄)

さらに、タイへのe-waste輸入量も急増し、2014年には約900トンだったのが、2017年には5万トン以上に膨れ上がりました。

■ 違法処理と環境汚染

調査によると、一部の工場や企業がe-wasteを不適切に解体処理しており、鉛・水銀・カドミウムといった有毒金属が土壌や水・空気を汚染していることが判明しました。

これが深刻な健康被害の原因となっています。

■「世界のゴミ捨て場ではない」

今回の全面禁止は、タイが循環型経済と環境保護の実現を目指す重要な転換点となります。

政府は「タイは世界のごみ箱ではない(Thailand is not the world’s rubbish bin)」という強いメッセージを発信し、外国からの電子廃棄物を完全に遮断する姿勢を鮮明にしました。

姿勢を明確にしても、現場の役人が賄賂もらっていたら、それまでです。
厳重な取り締まりと、「悪事を働いた方が得する」という考え方を変えさせるほどの刑罰を用意していなければ、何をしても変わることはありません。

関連記事

最新記事

月間人気記事TOP10

ページ上部へ戻る