ミャンマー船座礁で、世界最希少「青いサンゴ」壊滅状態。復元も困難に。

6月1日、タイ・パンガー県スリン諸島国立公園のチャーク湾において、ミャンマー国籍の貨物船「MV.AYAR LINN」が座礁し、世界で最も希少とされる“青いサンゴ”が甚大な被害を受けました。
船にはおよそ7,700リットルのディーゼル燃料が残されており、燃料漏れのリスクも高まっていると当局は警戒しています。

現場の状況と被害

・船の座礁によるサンゴ礁の損傷は全長約75メートルに及び、うち45~75メートルの範囲が最も深刻
・船底直下の青いサンゴ(Heliopora coerulea)は、ほぼ壊滅状態
・燃料漏れの恐れもあり、周辺海域の生態系全体に影響が広がる可能性

国立公園側の緊急対応(5つの対策)

①燃料漏れ防止策:船内外の構造やバルブを点検し、燃料の流出防止措置を実施
②オイルブーム設置の準備:油膜の拡散を防ぐため、海上局や海軍、民間と連携
③緊急対応チームの編成:「プンイー号」など軍の支援船と機材の出動体制を確保
④法的措置:船舶の責任を追及し、損害評価のため関係機関と連携して告訴準備
⑤自然回復・調査:損傷海域を封鎖し、漂流ゴミの除去やダイバーによる生態調査を実施

青いサンゴとは

・外見は通常のサンゴと類似だが、内部の石灰構造が青色であるのが特徴
・実はサンゴというより、ウミウチワやソフトコーラルに近い生物種
・恐竜時代(約7000万年前)から姿を変えていないとされる「生きた化石」
・タイ国内ではシミラン諸島・タチャイ島・スリン諸島の一部エリアのみで確認
・IUCN(国際自然保護連合)も、絶滅危惧のステータスを与えるほど希少

再生はほぼ不可能

タマサート大学のタムロン准教授によれば、この青いサンゴは非常に成長が遅く、栽培や移植の成功例が世界でも皆無に近いとのこと。

「仮に莫大な資金があっても、どう再生すべきか見当がつかない。できるのはただ、失われた自然を前に悔やむことだけだ」と述べています。

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