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氷のなかった時代、タイでは飲み物を冷やす独自の工夫がありました。さて一体どのような方法で?
- 2025/4/26
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猛暑が続くタイですが、氷がタイの日常に普及するはるか以前、タイ(シャム)の人々は、独自の工夫で暑さをしのいでいました。
※SIAMは、タイ語でサヤームと読みますが、ここでは便宜上、シャムと記載します。
特に冷たい飲み物を楽しむ方法において、当時の人々はどのようにして暑さの中で飲み物を冷やしていたのでしょうか?
その答えは、創意工夫、科学、そして国際貿易の力が融合した、非常に興味深い歴史にありました。
時をさかのぼること1840年、ラーマ3世の時代。
当時、シャム(現在のタイ)は西洋との交流を深め、西洋文化が上流階級に徐々に影響を及ぼし始めていました。
ヨーロッパ人旅行者のフレデリック・アーサー・ニールは、この地域での初期の飲料冷却技術を記録に残しています。
ニールは、ピンクラーオ王が主催した王室の宴席で、シャンパンを冷やすために考案された独創的な方法を目撃しました。
当時の熱帯シャムでは氷を手に入れることはほぼ不可能だったため、王室では硝石(硝酸カリウム)、塩、水を混ぜた特製の冷却液を使用していました。
これらの材料を混ぜ合わせると、吸熱反応が起こり、周囲の温度を急激に下げることができるのです。
この冷却液にシャンパンボトルを浸すことで、今日のようなキンキンの冷たさではないにせよ、十分に飲みやすい温度まで冷やすことができました。

イメージ画像です。歴史考証などと異なる可能性があります。
この方法はシャム特有のものではなく、インドやアジア各地でも古くから利用されていた技術でした。
冷蔵庫も製氷機も存在しなかった時代に、化学的な知識を応用して熱力学を理解していたことは注目に値します。
その後、ラーマ4世の治世になると状況は一変します。
シャムにも本格的な「氷」が登場するのです。
それら氷の固まりはシンガポールから輸入され、断熱のためにおがくずで包まれた状態でバンコクに運び込まれるようになっていました。