タイ最大手農機メーカー日本の「サイアム・クボタ」農業の近代化を推進。売上目標を前年比8%増へ。

タイの大手農機メーカー「サイアムクボタ」は、2025年の売上目標を670億バーツ(前年比8%増)と発表しました。
2024年の売上は620億バーツでした。

農業・協同組合省の予測によりますと、2024年の悪天候による落ち込みを経て、2025年の農業GDP成長率は1.8~2.8% となる見込みであり、タイの農業近代化が加速すると考えられています。

成長戦略:精密農業と持続可能性の推進

谷和典社長は、同社の成長戦略として、精密農業技術や農業サービスの拡大に注力すると発表しました。
現在、同社の売上の60%は国内、40%はASEAN市場(カンボジア、ラオス、ミャンマーなど) からの収益となっています。

「農業サービス業界は拡大しており、政府の精密農業推進政策が新たなビジネスチャンスを生み出しています。ASEAN市場でも同様の成長が見込まれています。」(谷社長)

また、戦略の4つの柱である「Perform and Transform」を打ち出しました。

①エコシステムの発展
②精密農業の拡大
③持続可能性の統合(再生可能エネルギーの活用など)
④AIを活用した効率化

さらにワラポーン副社長は、2025年末までに再生可能エネルギーの使用率を40%まで引き上げる計画を明らかにしています。

ASEAN農業市場と新製品の展開

東南アジア諸国の農業も近代化の動きを強めており、カンボジア(1.4%)、ラオス(3.1%) の農業GDP成長が見込まれています。
特に米生産の増加が成長を牽引しています。

そのような状況下で、サイアムクボタは、2025年第1四半期に、以下の新型農機を投入予定です。

・Lシリーズトラクター(改良版)
・DC-120Xコンバインハーベスター(共通レールエンジン搭載で収穫効率向上)
・M7-172(173馬力)(大規模サトウキビ農家向けトラクター)

高齢化する農業人口とテクノロジーの役割

タイ農業相ナルモン氏は、農業分野の課題として、①気候変動の影響、②地政学的リスク、③生産コストの上昇を挙げています。

また農業分野の構造的課題として、タイの農業人口の高齢化の深刻化問題もあります。

この点について谷社長は、「農業技術とイノベーションの活用により、若い世代の関心を引き、収益性の高いスマート農業を推進できる」と述べています。
また、灌漑インフラの整備 も、持続可能な農業生産のために不可欠であると強調しています。

サイアムクボタが売上目標を達成するには、政府の農業近代化政策や農産物価格の安定が必要不可欠です。
また、気候変動の影響を受けやすいタイの農業において、柔軟な対応力が企業成長のカギとなるだろうとタイの地元メディアは分析しています。

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