~日本で働く外国人社員に聞いた、日本語コミュニケーションの課題とは~

理系外国人留学生の人材紹介を強みとする株式会社オリジネーター(所在地:東京都渋谷区、代表取締役:長谷部 裕樹)は、当社が運営する外国人留学生就職情報サイト『リュウカツ®』(https://www.ryugakusei.com/)登録者のうち、日本で働く入社1~2年目の外国人社員を対象に、職場における日本語コミュニケーションについて座談会形式のヒアリング調査を7月に実施しました。外国人採用を検討する企業の担当者に外国人社員が感じている日本語のムズカシさについて知っていただくことで、日本で働きたい外国人留学生の活躍の場を広げていきたいと考えております。
  • ヒアリング調査 実施概要

[参加者] 日本企業で働く外国人社員 4名  

[実施日] 2023年7月30日 ※オンラインで実施

中国・25歳・男性

理系専攻(機械) 日本の大学院卒(修士)

就職先:製造業 技術職

2022年4月入社(新卒)/ 勤続1年

インドネシア・25歳・男性

理系専攻(機械) 日本の大学卒

就職先:製造業 技術職

2022年4月入社(新卒)/ 勤続1年

ベトナム・32歳・女性

理系専攻(環境・エネルギー・資源・海洋)

母国の大学卒業後、日本語学校卒

就職先:製造業 技術職

2022年4月入社(中途)/ 勤続1年

タイ・28歳・女性

文系専攻(経済・経営・商学)
日本の大学院卒(修士)
就職先:情報通信業 総合職
2021年4月入社(中途)/ 勤続2年

  • <ヒアリング調査結果 テーマ>

①   学校で習ってない!職場で戸惑った“日本語”とは

●英語?日本語?私の会社だけ?謎の省略語、和製英語

●まさかの方言!?辞書にも載ってない!

●主語がわからない、聞きなれない慣用句・・・日本語の壁

●曖昧で遠回しな言い回し。イエスとノーが、同じ言葉?

②   日本語だけの問題じゃない!?日本の職場のギモン

●無駄に長いメール、よく読むと結局ノー!?

●謎のルール・しきたり

③   特別扱い?無駄な気遣い?外国人社員が働きやすい職場とは

●変な気遣いは必要ない

●海外経験がある人が社内にいてくれると助かる

●適材適所が大事

  • テーマ① 学校で習ってない!職場で戸惑った“日本語”とは

●英語?日本語?私の会社だけ?謎の省略語、和製英語

「MTG(ミーティング)、CP(キャンペーン)、CVS(コンビニエンスストア)のような省略語に、企業名や部署名の省略もあって、最初に聞いた時は、英語の省略語なのか、日本だけの省略語なのか、自分の会社特有の省略語なのかわからないことが、結構ありましました。」(Dさん、タイ・女性)

「カニバリ(自社競合)チェックという和製英語を聞いた時、英語だとカニバリゼーション(共食い)とカニバリズム(人食い)では意味が全く違うので、どちらの意味かわからず戸惑いました。」(Dさん、タイ・女性)

  ●まさかの方言!?辞書にも載ってない!

「私は現在、北陸地方で図面を作成する仕事をしているのですが、

980㎜の寸法のところに、20㎜プラスした方がいいか判断できなかったので、上司に相談したところ、『せんでいいよ』と言われたので、『1000㎜でいい』という意味だと思ったら、『しなくてもいい』という意味でした。この地域では、『○○しなくていい』ということを『○○せんでいい』と言うことを知りませんでした。」(Cさん、ベトナム・女性)

「私が働いている地域でも『しない』を『せん』と言ったり、『いる』を『おる』と言ったりします。あと地元の人は『ダメ』の意味で『おえん』と言うのですが、『応援』だと思って最初はわかりませんでした。」(Aさん、中国・男性)

●オノマトペ、敬語、漢字、複雑な文法・・・日本語の壁

「オノマトペは、日本の漫画を読んでいるので、何となく意味はわかります。」(Bさん、インドネシア・男性)

「私は苦手ですね。『パッと見て』など最初は意味がわからなかったです。でも段々慣れてきました」(Cさん、ベトナム・女性)

「敬語もわかりにくいです。敬語を使うと、頭の中でその意味を解析するのに時間がかかります。一応、大学の授業では、メールで敬語を使う練習や、面接のための敬語の練習などはありましたが、実際は面接でも、あまり使いませんでした。」(Bさん、インドネシア・男性)

「漢字は、読むのは大丈夫ですが、書くのは難しいです。」(Bさん、インドネシア・男性)

「私は漢字よりも、文法の方が苦手です。漢字は調べたら意味が分かりますが、文法はgoogle翻訳を使っても意味がわからないときがあるので、どちらかというと文法の方が苦手です。」(Dさん、タイ・女性)

「『貴社』は書き言葉で、『御社』は話し言葉とか、細かいルールがあって複雑ですね。」(Aさん、中国・男性)

「動詞が最後にあるので、最後まで読まないと文章の意味がわかりません。すごく長い文章で、結局何が言いたいのかわからないときがあります。また主語を書いていないことがよくあるので、誰がやったのか文脈で推測しないといけない時があります。書くのも聞くのも慣れないと大変です。」(Dさん、タイ・女性)

「私は『○○んじゃない』=『○○です』の文法に混乱することがあります。『○○したら機械が動くんじゃない?』は『してはいけない』か『した方がいい』か分からなくなります。」(Bさん、インドネシア・男性)

「それから、私は真空ポンプを使う仕事をしているのですが、先輩に『その真空ポンプは、マイナス42mpa(圧力の単位)を超えると動かなくなる』と言われた時、マイナス30mpaがダメなのか、マイナス50mpaがダメなのか、わからなくなりました。以上か以下で言ってほしいです。」(Bさん、インドネシア・男性)

「私は入社してすぐの時、仕事終わりに上司に『先に上がっていいよ』と言われました。上の階も同じ会社のフロアだったので、上の階でこの後、ミーティングがあるのかと思ったら、『先に帰ってもいいよ』という意味でした。こういう時、普段よく使う言葉に言い変えてくれたら、すごく助かります。」(Aさん、中国・男性)

●曖昧で遠回しな言い回し。イエスとノーが、同じ言葉?

「日本語は、曖昧な言葉がいっぱいあります。例えば、仕事中に『手伝いましょうか?』と聞いて『いいですよ』と返事があった時、手伝いが必要なのか必要じゃないのか、わからなくなります。」(Cさん、ベトナム・女性)

「会社の社内イベントでBBQに行くバスを手配した時、どのバス会社がいいか、色々案を出して検討するミーティングがあったのですが、長いミーティングの最後に『では、それでいきます』と言われて、“それ”が誰の意見で、どのバスに決まったのか、全然分かりませんでした。」(Cさん、ベトナム・女性)

「リュウカツ」からのワンポイントアドバイス

テーマ①「学校で習ってない!職場で戸惑った“日本語”とは」

日本で働く外国人社員は、オノマトペ、敬語、漢字、複雑な文法など日本語特有の難しさに加え、業界特有の専門用語や各企業独自の略語など、一般的な日本語教育では学べないローカルな日本語に難しさを感じているようです。

また方言についても同様のことが言え、外国人社員が難しさを感じる日本語は、各社各様です。自社で働く外国人社員がどのような日本語で困っているのかヒアリングを行い、各社のニーズにあった日本語研修を行うなど、きめ細かいフォローが大切となります。

  • テーマ② 日本語だけの問題じゃない!?日本の職場のギモン

【参考データ】 実は日本語能力以外のコミュニケーションが問題?

※第2回 日本で働く外国人社員アンケート調査結果リリース:https://ryugakusei.com/news/12406/

Q.外国人として日本企業で働いて、苦労した点・困った点は? [複数選択]

●無駄に長いメール、よく読むと結局ノー!?

「メールが無駄に長いと思います。イエスなのかノーなのかはっきり言わず遠回しな言い方なので、最後まで読まなければわからない文章が多いです。直接的でも丁寧な言い方はできると思うので、言いたいことはコンパクトに書いてほしいですね。」(Dさん、タイ・女性)

「例えば『○○してください』なら、はっきりわかるのですが、『○○していただければと思います』だと、コメントレベルなのか必須レベルの指示なのか、わからない時がありました。『○○していただければ幸いです』は『○○してくれれば、私はうれしい』という意味なので、『じゃあ、やらなくてもいいのかな?』と最初は勘違いしました。でも結局、『してください』という意味ですよね。」(Dさん、タイ・女性)

●謎のルール・しきたり

「私の職場では、図面ができたら上司に確認のハンコをもらわないといけないのですが、図面がいっぱいあり、毎回確認のハンコをもらうのにすごく時間がかかってしまいます。もっと効率の良い方法にできないかと上司に相談したところ、『それは会社のルールだから変えられない』と言われました。」(Cさん、ベトナム・女性)

「私は今、インドネシアにある企業とやりとりをしていますが、私が状況を確認したい時は、まず先方の責任者に聞き、その責任者がリーダーに聞き、リーダーが実際に作業をしている担当者に確認します。やりとりに無駄な時間が多く、直接私が向こうの担当者と話せればよいのですが…」(Bさん、インドネシア・男性)

  • テーマ③ 特別扱い?無駄な気遣い?外国人社員が働きやすい職場とは

●変な気遣いは必要ない

「インドネシア人社員とメールのやりとりをする時に、google翻訳でインドネシア語に翻訳して送ってくれる日本人社員がいますが、たまに翻訳がおかしい時があって、逆に勘違いしてしまうことがあります。元の日本語もないので、何が言いたいのか分からなくなります。間違った翻訳のインドネシア語よりも、元の日本語を送ってほしいです。」(Bさん、インドネシア・男性)

●海外経験がある人が社内にいてくれると助かる

「海外経験がある人が社内にいると、私たちが困っていることによく気がついてくれます。難しい日本語を使わないなど日本語のレベルを合わせてくれるので、助かります。」(Dさん、タイ・女性)

●適材適所が大事

「適材適所が大事だと思います。特別扱いはしなくてもいいですが、私が日本人ではないことも配慮してほしいと思います。例えば、新人に議事録を取らせる習慣がありますが、議事録をとるのは、外国人より日本人の方が向いていると思います。逆に私たち外国人の方が得意なこともあると思います。」(Dさん、タイ・女性)

「リュウカツ」からのワンポイントアドバイス

テーマ②「日本語だけの問題じゃない!?日本の職場のギモン」

テーマ③「特別扱い?無駄な気遣い?外国人社員が働きやすい職場とは」

実は日本語以上に外国人社員を戸惑わせていることは、日本特有の商習慣や各社独自の社内ルールです。外国人社員が定着し力を発揮していくためには、なぜその社内ルールが必要なのかを丁寧に説明したり、外国人対応経験が豊富なメンターを置き、悩みごとをヒアリングしアドバイスするなどのサポート環境を整えることが大切です。

弊社が過去に行ったアンケート調査「第2回 日本で働く外国人社員アンケート」(2023年3月発表)

https://ryugakusei.com/news/12406/でも、「どのような人がメンターになってくれると良いですか?」との問いに、「日本人で海外生活・留学経験がある人」「長期留学経験のある日本人」「他の国の文化の違いを理解している人」などの回答が多くありました。

  • 【外国人採用・活躍支援の現場から】 

株式会社オリジネーター 取締役 専務執行役員 工藤尚美

企業のグローバル化や多様性により、優秀な外国人材の採用が広がっている一方で、コミュニケーションのずれなどが原因で、早期離職してしまうケースもあります。日本語という「言語」の問題のみならず、暗黙知に頼る組織体に問題がある場合も少なくありません。企業側は受け入れ体制を整備し、外国人材が長く働きたいと思える職場環境をつくることが大切です。近年は、ご支援内容を取りまとめた弊社「外国人受け入れ事例集」にあるように、外国人材の受け入れ後の定着と活躍に関するお問合せも増えています。

  • 『リュウカツ®』のサービスについて

■ビジネス日本語研修

https://ryugakusei.com/company/jptraining/

100社以上の受託実績から、企業のニーズと受講者レベルに応じ、多様な研修スタイルと学習内容を提案。日本語でのコミュニケーションを重視したトレーニングが好評。

 ■外部メンター制度

https://ryugakusei.com/company/diversity/

外国人対応経験が豊富な専任メンターが1on1で悩みごとをヒアリング&アドバイス。外国籍社員採用後の定着・活躍を細やかに支援し、全社員が力を発揮できる環境づくりをサポート。

■採用支援 https://ryugakusei.com/company/

理系を中心とした多様な優秀層が多く登録する「リュウカツ®」の中から、外国人留学生専門のコンサルタントが最適な人材を紹介。また合同説明会や個社説明会など採用に直結する各種イベントも実施。

  • 『外国人材受入れ事例集』PDF無料配布中!

外国人材の採用・活躍支援を行うオリジネーターの『リュウカツ®』は、当社がサポートした企業の中から、評価制度・育成方法/社内コミュニケーション/日本語能力/文化・マナー・商習慣…など企業と外国人材のお悩み別に 全30事例を紹介する事例集を無料配布しています。

資料名:『外国人材受入れ事例集 ~相互理解とさらなる飛躍のために~』

URL:https://ryugakusei.com/whitepaper/13004

 

[代表者] 代表取締役 長谷部 裕樹

[設 立] 2001年12月

[資本金] 1,000万円

[所在地] 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-19-12 monparte北参道6階

[主な事業内容] 外国人材採用支援事業『リュウカツ®』https://www.ryugakusei.com/

[事業許可] 有料職業紹介事業許可番号(13-ユ-300900) 労働者派遣事業許可番号(派13-302460)

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