甲斐性なしの夫から逃げてきた娘を鎖で監禁したのは実の父親。タイは世間体を大切にします。

本誌では度々、タイのローカルエリアには深く暗い闇が広がっているとお伝えしてきましたが、今回の事件ではその一端をかいま見ることができます。

2022年12月3日午後17時、人権団体の「サイマイ」チームは、バンコク郊外ノーンチョーク付近にある家屋の部屋の中で、鎖に繋がれた28歳の少女の救出に向かいました。

救出時、娘は非常に疲れた状態で発見され、顔には打撲傷があり、口にはひびが、そして左足首は大きな鎖でつながれていました。 

驚いたことに、彼女を鎖でつないだ男は、彼女の本当の父親だと証言しました。
半年前、彼女は9年間連れ添った夫と別れました。
夫との間には、2人の子供をもうけていました。

夫は甲斐性なしで、いつも浮気を繰り返し、二人目の子供を妊娠したときですら、ひそかに女性と付き合っており、隣人の友達とセックスしたりしていたといいます。

しかし父親は非常に保守的な男性で、結婚して子供を持ち、夫がいる女性は我慢しなければならないと主張します。
夫に頭を下げてでも、子供を育ててこいと逆に諭します。

半年前、我慢の限界で夫に離婚を申し入れていました。
しかし、彼女の夫は離婚届への署名を拒否しました。
それで彼女は一人で部屋を借り、別居することとしました。
夫には、常に他の女性がいました。

約2ヶ月前、彼女は男友達と話し始めました。
それに元夫が気づき、家に帰るよう求めましたが、しかし彼女は拒否しました。

そのため、元夫は彼女の父親を尋ねました。
彼女を強制的に連れ戻して同居させるために。

しかし彼女は、父親のの言うことを聞きませんでした。
すると父親は、彼女を数回平手打ちし、家に引きずりこみました。
そして、元夫のところに戻るというまで、鎖でつながれてしまいました。

娘は父が不在のとき、友人に助けを求めることにしました。

「サイマイ」は、このような行為は違法であることを知るべきだと主張しています。
しかし、タイ人ローカルの間では、子供は牛や豚と同じように自分の所有物ともとれるような考え方が根強く、絶対服従のような教育を子供のうちから刷り込ませています。
父の日や母の日を過剰なまでに祝うのは、その裏返しとも取れます。
(うがった見方と主張する人も必ずいますが、その一面があることはゆるぎない事実です)

それがタイの習慣、慣習だという見方もあるでしょう。
しかし時代に見合わない、しかも明らかにご都合主義な拡大解釈をする者も多く、勝手気ままな振る舞いは家族や周りの人の人生を不幸に陥れています。

残念ながらこのようなケースは、氷山の一角でしかありません。
事件化されない虐待ケースは、今もタイのどこかで続けられていることでしょう。

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